日本型雇用のココが問題――厳しい就活を強いられる学生たちちきりん×城繁幸の会社をちゃかす(4)(1/4 ページ)

» 2011年05月18日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 景気の先行き不透明感が漂う中、学生の就職活動は過熱するばかりだ。大学3年生の時点で内定を出したり、授業がある日に内定式を行ったり――。こうした企業側の行動に、疑問を投げかける声も少なくない。

 このまま今のような就活システムを続けていいのだろうか。また超就職氷河期と呼ばれる世代の学生たちだけが、競争を繰り広げていいのか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんと人気ブロガーのちきりんさんが語り合った。

まるで“死神”

ちきりんさん

ちきりん:外資系の企業で長く勤めていると、「解雇される=怖い」という感覚が麻痺するんです。特に米国系の金融なんて、最終的には全員が解雇されてしまうような世界です。結局は全員解雇されるんですが、違いはその時期だけ。「今日は隣の席の人かもしれないが、明日は自分かもしれない」といった世界。

 いつか解雇されるんだけど、そのタイミングが分からない。これって人間の死と同じなんですよ。

城:なるほど。

ちきりん:死というのは怖いはずなのに、普段の生活でそんなことをいつも怖がっている人はほとんどいないでしょ。全員がいつか死ぬんだし、しかもその死がいつやって来るか誰も分からないから、そんなことを考えていても仕方ない。無意味ですよね。それより生きることを楽しんだ方がいいわけです。

 外資系企業の解雇というのも人間の死のようなものなので、みんなそのうち解雇されるけど、そんなことを考えていてもしょうがない。とりあえず目の前の仕事を楽しくやっていられればいいんですよ。

 一方、日本の大企業は基本的に誰も解雇されない世界なので、いわば「誰も死なない世界」みたいなもんです。だからそこに死という概念を持ち込もうとする城さんは、彼らにとってとても怖い存在なんですよ(笑)。

城:ハハハ。

ちきりん:「全員が平均寿命まで生きる世界」しか知らないのに、まるで“死神”のように「あなたは40歳で死ぬかもしれませんよ」と言われたら、そりゃあパニックになってしまう(笑)。

城:だから一部の人に嫌われるんだ(笑)。

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