持高調整の売りが一段落となって大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月26日 17時25分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が堅調となったことや値ごろ感からの買いがみられて大幅高となりました。特に買い急がなければならない理由があったわけでもなく、持高調整の売りが一巡となったことで買い戻しが入り指数を押し上げたものと思われます。ここのところ円高一服となっても軟調となっていたハイテク銘柄などに買いが入り、指数を押し上げましたが、先行きの見通しが明るくなったということでもなくあくまでも売られ過ぎの修正、日経平均9500円水準での底堅さを確認することになったものと思います。

 自社株買いの発表などで大きく買われている銘柄も散見されましたが、自社株買いも「株主還元」と言う観点から好感されているようです。ただ、大株主が経営者である場合など本当に素直に「株主のため」と考えてもいいのでしょうか?株主のためと言えば何でも許されるというようなことも見受けられ、かつての「ライブドア事件」ではないですが、何となく考えさせられてしまいます。

 本当に株主のため、と言うことであれば、株主に目先の利益を還元するよりは新たな成長投資をするべきであり、本当の意味であれば自社株買いは企業の手詰まり感を示して、成長鈍化を示すものと考えてもいいのではないかと思います。逆に公募増資などは嫌われますが、本当に成長のための資金需要が公募と言う形で現れたのであれば評価するべきだと思います。

 お金の使い道がわからないから経営者=大株主が自分の資産の価値を高めるために行う「自社株買い」と言うケースもあり、また、新たな成長戦略を遂行するための財務基盤作りや資金作りのための公募と、本当に「株主のため」なのはどちらなのか考えてみても良いのではないかと思います。単純に借入金返済のためではなく、次のステップのための公募などを好感するような市場であれば健全と言えるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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