大幅下落の反動も期待されたが冴えない展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年06月03日 08時43分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均株価>9555.04円▼164.57

<TOPIX>825.76▼3.65ポイント

<NYダウ>12248.55▼41.59

<NASDAQ>2773.31△4.12

<NY為替>80.89▼0.05

個人消費に対する懸念も強まり、大幅下落の反動も期待されたが冴えない展開

 朝方発表された新規失業保険申請件数は前週比で減少となり、雇用に対する懸念が薄らぎ、前日の大幅安の反動もあって堅調な底堅い始まりとなったのですが、小売各社の5月の既存店売上が全体として冴えない状況であったことから、個人消費に対しての懸念も取りざたされて売り急ぐ展開となりました。ただ、ギリシャの財政再建についての合意が伝わり、欧州金融不安が薄れると値ごろ感からの買いや買戻しが入りナスダック指数は堅調、ダウ平均も下げ幅を縮小して終わりました。

 引き続き米国では景気鈍化も懸念されて売り急ぐような場面もありました。ここのところ経済指標なども芳しいものがなく、景気回復鈍化が懸念されていますが結局はQE2(量的緩和)終了後の資金の動向を気にしていると言うことでしょう。金融政策に対しては比較的楽観的に見ているのではないかと思われますが、実際に資金回転がこれまでのように効くのかどうかが一番懸念されていると言うことでしょう。世界経済の拡大のなかで米国の極度な金融引き締めがないかぎり心配ないと思います。

 個別には5月の既存店売上高が予想を下回ったギャップが大幅安、JCペニーも軟調、既存店売上高は予想を上回ったものの、ガソリン上昇の影響が大きいとしてコストコ・ホールセールも売られました。ウォルマートも軟調となるなど小売各社は軟調なものが目立ちました。金価格が下落してパブリック・ゴールドなど金鉱株は軟調、金融危機前の商品販売に関してニューヨーク州の司法長官から召喚状を受け取ったと報じられたゴールドマン・サックスも軟調となりましたが、欧州金融不安が薄れたことで、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株は総じて堅調となりました。既存店売上高が予想を上回ったサックスも堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や政局不安から大幅下落となりました。売り先行で始まった後は底堅く、指数に方向感はなかったのですが、買い戻しを急ぐでもなく戻りも鈍くなりました。積極的に買い上がるには懸念材料も多いと言うことで、内閣不信任案が否決されそうだと伝えられても全く反応はありませんでした。手掛かり難の中、持高調整の売り買いも一段落となった感もあり、米国市場に素直に反応することになったのだと思います。

 引き続き米国市場が冴えない展開となっていることもあり、日本市場も戻りを試すと言うよりは下値固め、底堅さを確認すると言うような展開になるのではないかと思います。比較的為替が落ち着いていることや大震災の影響からの立ち直りが早いことが好材料で、政局の混乱がますます激しく政策不在となる可能性が高いことや中国などの新興国に欧米の景気拡大、景気回復が鈍化傾向にあることなどが不安材料ということになりそうです。米雇用統計の発表を控えた週末と言うことで積極的な買いは期待されず、昨日の大幅安の反動も限定的となりそうです。

 日経平均は引き続き9500円〜600円水準での底堅さを確認することになりそうです。政局の混乱などもあり、復興の遅れも懸念されますが、米国など世界的な景気鈍化懸念に関しては大震災の影響もあったことで逆にある程度落ち込みは株価に織り込まれているものと考えられます。復興の道筋がはっきりと示されるとか原子力発電所事故が片付くまでは当面9800円〜900円水準が上値となりそうです。

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