週末の米雇用統計や中国の利上げなどを懸念して手仕舞い売りに押される清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年06月03日 16時09分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国市場が冴えない動きとなったことや内閣不信任決議案が否決されたことに加え、週末の手仕舞い売りもかさんで軟調となりました。昨日の大幅下落の反動や外国人が買い越しと伝えられたことなどもあり、買い先行となったのですが、寄り付きの買いが一巡となったあとは買い手掛かりに乏しい中で軟調となりました。下値をむきになって売り叩くような動きはないのですが、いっこうに政策が見えてこないことや週末のヘッジ売りなどもかさみました。欧州金融不安、中国の利上げ懸念に米国の雇用統計の発表を控え、さらに日本では原子力発電所問題や政局の混乱が見られる週末と言うことで買い手控えられました。

 昨日の内閣不信任案が否決されたこと、それに加え、さらに与党の中での混乱が激しくなっていることを株式市場では嫌気した面もありそうです。政治に対する期待はほとんどないことから従来から政治の影響と言うのは非常に少ないのですが、大震災からの復興が急がれるなかで、政策のかけらすらみえないと言う状況を市場では嫌気しているのだと思います。どんな政策でも良いからはっきりと方向がみえてくれば、企業もそれなりに対処できるのですが、日本が進む道が右なのか左なのかそれとも斜め右上なのか、はたまた後ろに向いて進まなければならないのか方向すら示せない政府に対する失望もかなり大きいと思います。

 かつて、「郵政解散」と言うことで株式市場がにぎわったり電電公社(現NTT)の民営化でにぎわうと言うことがありましたが、これらは「規制緩和」と言う資本主義の本質が見えたことで市場では好感されたのだと思います。国家管理でとにかく萎縮しなさいと言うような政策では出るものも出ず、動くものも動かず、経済がうまく回って行くわけがありません。

 どっちの方に行きそうかと言う方向感だけでもみえてくれば、それLEDだ、風力発電だ、と資金の流れがみえてきて、その資金の流れをみて行くことで投資や消費がまた伸びて来ると言うものではないかと思います。皆が、政府が示さないのであれば、と言うことで勝手気ままに動き出すとまたそこで規制が強化されて身動きが取れなくなって来るのだと思います。ただ、はっきりしていることは原子力発電所の問題もあり、電力が足りない、と言うことは確かなことであり、その流れで恩恵を受ける企業を考えてみるといいのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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