富士経済は6月7日、国内清涼飲料市場の調査結果を発表した。それによると、2010年の清涼飲料市場は、前年比1.1%増の4兆8876億円と、2007年以来のプラス成長となったことが分かった。
2010年前半は消費者の節約志向を背景に低調に推移していたが、記録的な猛暑となった夏にスポーツドリンクを始めとした機能性飲料が熱中症対策として急伸したほか、ミネラルウオーター類や炭酸飲料、果実・野菜飲料にも需要が波及したという。
しかし、2011年の市場規模は、東日本大震災の影響で前年比3.8%減の4兆7017億円と見込んでいる。「東北や北関東では被災した工場が多く、製造・充填ラインの損壊、倉庫及び在庫品などに被害が生じている。また、資材メーカーの工場も被災し、ペットボトルやシュリンクラベル、キャップ、缶容器、紙パックなど飲料包材が不足している」(富士経済)。
2011年の市場規模を分野別に見ると、全体的に不調な中、近年需要が低迷していたミネラルウオーターが前年比8.5%増の2808億円と大きく伸びると見込まれている。
富士経済では「2011年は東日本大震災後、首都圏を中心に家庭や企業での防災備蓄意識が一気に高まっていることに加えて、原子力災害による放射性物質の飛散が明らかになるとともに、ミネラルウオーター類への需要が急増している。これを受け、政府は各メーカーにミネラルウオーターの供給量増を要請し、国産品では各メーカーが増産し、輸入品では原産国に追加発注し供給量の増加を図っている。また、商社や卸が独自に輸入する動きも出てきている」と分析している。
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