空港ではたらく個性豊かな“特殊車両”たち。それぞれの任務・役割は?秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/4 ページ)

» 2011年06月10日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

地中から燃料を吸い上げる給油作業車

 主翼の下には、燃料の給油を行う「給油作業車」が止まっている。ホースを伸ばして、主翼にある燃料タンクの給油口に接続。担当スタッフがレバーを操作し、給油作業が開始された。

飛行機と空と旅 給油される燃料は大型機ではドラム缶1000本以上にも(撮影:チャーリィ古庄)

 旅客機の燃料タンクの容量は、ボーイング777で約17万リットル、ジャンボ機747で約23万リットル、世界最大のオール2階建て機エアバスA380では約31万リットルもある。31万リットルといえば、大型のドラム缶で1500本以上だ。国際長距離路線を飛ぶには、出発前にその燃料タンクをほぼ満タンにしなければならない。大規模な空港では敷地内に貯油タンクを備えた給油施設をもち、スポットエリアの地中にパイプラインが張り巡らされている。そこから給油作業車を使って勢いよく燃料を吸い上げ、機体の燃料タンクに注入されていく。

フードローダーは機内食の運搬が専門

 電源を供給する「グランドパワーユニット」や「給水車」、機体のタンクから汚水を抜き取る「ラバトリーカー」、機内で乗客にサービスする食事を積んだ「ケータリングカー」も同時に作業を開始した。ケータリングカーは「フードローダー」とも呼ばれ、客室に機内食や飲み物を運び入れるため荷台が高く持ち上がる構造になっている。

飛行機と空と旅 燃料の給油と同時に、後方ドアではフードローダーによる機内食の搬入が進む

 機内食は、日本でも海外でも「ケータリング会社」と呼ばれる機内食をつくる専門の会社の工場で製造されている。その現場が最も忙しくなるのは、日本では午前中からお昼にかけてだ。午後になると出発便ラッシュが始まる。機内食は乗客に出されたときに最高においしくなるタイミングを逆算して調理されるため、おのずとその時間帯が作業のピークに。ケータリング会社で調理された食事は、台車付きのカートに乗客の人数分のトレーがセットされた状態でフードローダーに積まれて工場を出発。空港で機内に搬入され、ギャレー(厨房)の所定の位置に収められるのである。

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