現場で働く7次、8次下請けの労働者に話を聞くことができた。原発で働くに至った経緯を聞いたところ、ハローワークなどで申し込んだ人もいるが、地元の先輩や知り合いからの紹介という人が多い。
ある男性は「地元の先輩から『誰でもできる即金の仕事だ』と紹介され、連れて行かれたのが原発だった」と話していた。この男性の場合、採用面接や健康診断もなく、安全教育は初日に見せられたビデオだけ。雇用契約書もなければ、社会保険も未加入……。考えてみれば、この男性は“原発で働いていた証明書がない”ことになるのだ。
原発では、“労災申請ができない力”が強く働いている。建設業ではよくある話であるが、そこで働いている労働者が労災申請をすれば、発注者から2度と仕事が回ってこなくなる。ただ建設業であれば、数が多いので他の職場を当たることができる。
しかし電力業界では発注者は東電のみ。東電ににらまれれば、その地域で働くことができなくなるかもしれない不安がある。なので他の産業に比べ、“労災申請ができない力”が強いのだ。原発ではずさんな管理が行われていたのにも関わらず、労災震災は2008年度までの32年間で48件しかない。
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