いまだ深刻な状態が続いている、東京電力の福島第1原発。放射線量の高い環境の中、電源復旧やがれき撤去などのために、東京電力の社員と下請け労働者による作業が続いている。
事故後、ハローワークのWebサイトに「福島第1原発でのバイト募集」が掲載され、このように書かれていた(関連記事)。「原子力発電所の清掃、修復工事の補助」「防護服や保護具などをつけて一日3時間ほどの作業」「賃金は時給1万円(3日3万円)」――。
では事故前にはどのくらいの賃金が支払われていたのだろうか。原発で働く労働者の取材を続ける『週刊東洋経済』の風間直樹記者が、何重にもわたる下請け構造を明らかにした。
東京電力の福島第1原発で事故が起きる前、地元のハローワークにはこのような求人が出ていた。「福島原発 仕事内容は原子力発電所内の定期検査・機械・電気・鍛冶溶接及び足場作業」と。日給は9000〜1万1000円。原発の労働はさまざまな問題を抱えているのにも関わらず、賃金は決して高くない。むしろ「安い」と言っていいだろう。
原発で働くにあたって、どういう条件が必要なのだろうか。求人欄を見てみると「学歴不問、年齢不問、応募資格不問、スキル経験不問」と、すべて「不問」と書かれている。まさに「身体ひとつで原発に来い」といった感じの内容だ。また事故後、他の原発の求人を見ても、内容はほとんど変わっていない。
多くの関係者は「原発は下請け会社なしでは回らない」と語っている。原発において、電力会社の社員と下請け労働者の比率はどうなっているのだろう。2009年度のデータ(原子力安全・保安院)によると、日本の商業用原発の労働者のうち電力会社の社員は1万人弱なのに対し、下請け労働者は7万5000人。原発では、下請け労働者が圧倒的多数を占めている。福島第1原発でも、東電社員1100人ほどに対し、下請け労働者は9000人を超えていた。
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