まあ、今から10数年前に開発されたクルマなので、最新のスーパースポーツのような洗練度、フレキシビリティこそありませんが、「深く踏んだとき」の加速はむろんすごいものです。
高回転域のエンジン音がまた強烈で、排気音、吸気音、過給器音、機械音……。それらが混然一体になってコクピットに押し寄せてきます。「サウンドを奏でる」などといった、表現は当てはまりません。SLRマクラーレンの音には、「凄まじい!!」という表現しかみつかりません。
エンジンレスポンスは素晴らしいですが、5速ATのレスポンスはさほどでもないので、アップテンポなドライビングのリズムには、ちょっと乗りにくい感じです。
ステアリングはクイックですが、同時にワンダリングも強く、気が抜けません。平滑な路面でのハンドリングはOKですが、不整路面では上記のワンダリングとバネの堅さによる接地性の乱れを抑え込むのに、けっこう神経をつかわされます。
セラミックコンポジットのブレーキは強力ですが、踏力は重く、脚力にはタフさを求められます。タフといえば、乗り心地も「セミレーシング的」といっていいかと思います。
とにかく、SLRマクラーレンは、ハンパな気持では付き合えない「タフなクルマ」だということです。(文&撮影:岡崎宏司)
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