権田:住宅に関する知識がお客様と大して変わらないのであれば、営業は必要なくなっていきますね。ただ、クロージング神話というのもあって、住宅というのは人生で最も高額な買い物であることが多いので、最後の一押しで営業マンが必要とされるという考え方もあります。
宋:社員数30〜50人ほどの企業さんであれば、クロージングは社長や役員がやればいいじゃないですか。小さな会社だったらお客様にも目が行き届きますし、40〜50組ほどのお客様なら月4件くらいですし、社長や役員がクロージングすればいい。無駄に役員が多い会社もあるんだから、役員に働いてもらったらいいんではないですか。
権田:そういう考え方もできますね。純粋に営業や接客だけの営業は必要ないと。逆に言うと、営業マンはもっと設計などの専門知識を身に付けるべきということですね。
宋:そうですね。営業マンはもっと設計などの専門知識を身につけて、お客様が分からないことに関する提案をすべきです。そうじゃない営業マンの存在はただのコストですよ。
権田:マイホームが夢であった時代は、今よりも住宅が売れていたので、それでも住宅営業マンの意義がありました。しかし今は新築需要も減ってきていて、お客様から深い知識やライフスタイルに合わせた提案が求められてきています。その中で今までの住宅営業のあり方に変化が求められているのでしょう。
宋:先ほどの話は本当に昔のあり方で、高度成長期だから成立したことです。象徴的なのが、鬼軍曹みたいな営業マネージャーっていたでしょ? みんなの前で殴ったり、蹴ったり、ソロバンで叩くようなマネージャー。
私も東京に来たころ、本当にそんな人がいるのかと思って、実際に見に行きましたよ。鬼軍曹のような人が、支店長を一列に並べて歩いて、数字が低い人の前でソロバンで「ばちーん」と叩くんです。で、ソロバンが落ちるじゃないですか。そのソロバンを叩かれた人が拾って鬼軍曹に戻すんです(笑)。
権田:まさに軍隊方式ですね(笑)。それをやると、今の人は辞めちゃいます。
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