米国株高や6月末を意識して堅調だがさすがに上値も重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年06月30日 16時04分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株は相変らず堅調な展開となりましたが、日本市場は買い先行となったものの一時軟調となる場面もあり、乱高下となりました。大きく指数が動かされたということですが、お化粧買いということで、指数ばかりが高いという感じでした。指数に影響の少ない大阪銘柄や小型銘柄は特に理由のないなかで手仕舞い売りに押されるものも多く、6月末ということで指数は堅調でしたが軟調なものも多くみられました。

 午後になって買い直される場面ではいつものように「アジア市場が高いから」などというコメントも出ていましたが、何度もこのコラムで述べているように、アジアの株式市場、特に株式指数の動きを見ながら日本株を売買しているような向きは少なく、アジア市場の日本市場に対する直接的な影響は少ないと思います。このように、無理やり理由をつけようとしてつじつまの合わなくなって来ることも多く、冷静に「市場で何が起きているのか」を見ておいた方が良いと思います。

 アジア市場自体が欧米の株式市場やそれに反応した日本市場の動きを見ているわけですし、日本市場は米国市場に反応した後は目先の需給に振らされることが多く、特にアジア市場がどうしたということもないと思います。特に上海市場が云々ということも良く言われますが、上海市場の参加者と日本市場の参加者の質も量も、中身も全く違いお互いに相関関係があるとは思えません。欧米の投資家が日本や中国を十把一絡げに見て持高を調整するようなことはあるのでしょうが日本の投資家が中国の国内の投資家の動向とパラレルに考えて投資をするとは考えにくいと思います。

 株式市場では実際に起こっていることを見てその理由を判断することが多く、往々にして材料が後から付いてくることも多いと思います。本日の相場でもソニー(6758)が高く、外資系のレポートが出たなどと言っていますが、もちろん、大幅高となった理由の一つだと思いますが、ファナック(6954)やTDK(6762)がしっかり、日本電産(6594)や村田製作所(6981)が軟調なところをみると、指数の数字が欲しかったのではないかとの見方も出来ます。本当の理由をいくつか考えて、その理由に合うような対処をした方が良いと思います。アジア市場が高いからと言う理由では、トレードする上でほとんど役に立たないと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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