「そうした能力がないから外部に頼むのではないか?」
こうした反論は良く聞かれるが、どんな分野であろうと、自らの欲しいものを設計できる能力がない時に外部に委託した場合、よほど能力がありかつ良心的なサプライヤやベンダーに当たらない限り、失敗に終わるか、高い買い物になる。なぜなら、サプライヤやベンダーの提案が自社が望むものなのか、価格は妥当なのかを評価する術がないからだ。
「では、そうした能力がない時にはどうすれば良いのか?」
答えは、そうした能力がない時には、今回のルネサスエレクトロニクスの例のように、能力の獲得、蓄積を優先し、設計能力が身に付くまでは調達するのを待つ方が良い。内製での能力の確保が難しければ、人材を採用しても良い。すべてを外部に任せるのではなく、その投資の一部を能力獲得のための研究開発、人材に振り向けるのだ。一見、遠回りや余計な支出に見えるかもしれないが、実際には、この投資が、すべてを外部に任せるのに比べて、投資の費用対効果を何倍、何十倍にも改善させることになる。
外部からモノを調達する際の設計能力の重要性を理解しているからこそ、ルネサスは自らは製造せず生産委託するものの共同開発に参加するのである。(中ノ森清訓)
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