“原子力村”、彼らの反論を紹介しよう原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(3)(2/4 ページ)

» 2011年07月06日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

原口:背筋が寒くなる話ですね。今、福島第1原発では、警備会社がいない状態。自衛隊も警察官もいません。ちなみに僕の地元・佐賀県にも玄海原発があります。警備員の数は言いませんが、恐ろしく寒いくらいの人数しかいません。

 原発というのは「都合の悪いことは見なかったことにしよう」という体質があるんですよ。日本全体は「もうやめてくれ」「もうつらい話はいい」「目をつむって、耳をふさいでいたい」と思っている人が多いのではないでしょうか。しかしこれでは政治的なニヒリズムにつながっていきます。

 政治的なナショナリズムについてはジャーナリズムも備えがあります。ところが政治的ニヒリズムについては、ものすごく弱い。「誰が政治家をやっても、同じ」といった声をよく耳にしますよね。しかし民主主義というのは“学び”。自分たちが少しでもいい政治家を選ぼうとする努力を拒否すれば、自分たちの命に関わるということを忘れているのではないでしょうか。

 「誰が政治家をやっても、同じ」と簡単に言う人がいますが、僕はそういう人たちを見るとこのように感じています。「そんな考えをしていれば、あなたたちはいつかファシストに飲み込まれますよ」と。

 原発事故について「もういいよ」と思っている人はたくさんいます。例えば50歳以上の人で「自分にはあまり関係ないから」などと言っている人が多いことも知っています。

 飯舘村から避難している、ある住民はこのように言っていました。「ホールボディカウンターが福島医科大学にあることが分かり、そこで検査を受けました。しかし数値を教えてくれないんですよ」と。

武田:信じられないですね。

原口:その飯舘村の人は千葉県にある放射線医学総合研究所に行きました。そこでは結果だけを見せてくれたそうです。そもそもなぜホールボディカウンターの検査を受けて、その結果を教えてくれないのか。理解できません。情報は全て開示しなければいけないんです。

消防車による注水(2011年3月16日撮影、出典:東京電力)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.