絶望のどん底に落とされてしまった――。3月14日、福島第1原発の3号機の爆発シーンを見て、そう感じた人も多いだろう。火を噴きながらの爆発、そして舞い上がる白煙。「原発はものすごく恐ろしいものだ」と感じさせられた光景だが、なぜそんなに危ないものをたくさん造ってきたのだろうか。
“原発の番人”とも言える立場の人は、どのような議論を重ねてきたのだろうか。この問題について民主党の原口一博議員と中部大学の武田邦彦教授が、徹底的に語り合った。
――原発では下請け労働者がたくさん働いています(関連記事)。その中に、正体がよく分からない人がいる、とも聞いています。
原口:誰か分からない人が作業をしているということは、その中にテロリストがいるかもしれない、ということになります。爆弾を持ったテロリストが原発の中に紛れ込んでしまったら……それこそ終わってしまう。
原発ではどのようなチェック体制になっているのか、調べてみました。すると、作業前のチェックは5分ほどで終わってしまう。これで十分と言えるかどうか、疑問です。
武田:僕は旭化成工業のウラン濃縮研究所で働いていました。濃縮ウランの研究がうまくいき始めると、濃縮ウランがどんどん増えていきました。そして、ついに臨界を越えてしまった。
僕は国の担当者に「臨界を越えてしまった。国家として、この状態をどのように対応するんですか?」と聞いてみた。すると「国家は介入しません」といった返答でした。
それを聞いて、ものすごく驚きましたね。「あれ? 日本という国は、国内で臨界状態になっているところがあるのに『私企業の問題だから、知りません』という対応でいいの?」と感じました。さらに「日本には危機管理という概念がない」と思いましたね。
確かに原発はテロから守らなければいけません。内部では核爆発に対する準備をしなければいけません。しかしこの2つの準備が不足していたのは間違いありません。なぜなら準備をしていれば、今回の事故のように電源が全部一緒であることはあり得ないですから。要するに日本は危機管理を考えない、また考えることが嫌だったのかもしれない。
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