日本だけでなく、世界中を震え上がらせた福島第1原発の事故。なかなか情報を出さない東京電力の対応を見て、「まだなにか隠しているのではないか」。ちぐはぐな対応を続ける政府の姿を見て、「本当にこの政権で大丈夫なのか」。このような不安を感じた人も多いはずだ。
原子力基本法では「民主・自主・公開」の3原則がうたわれている。この「公開」というのは「原子力に関するあらゆることの公開」ということになのに、情報を十分に知らされていないのはなぜなのか。この問題について民主党の原口一博議員と中部大学の武田邦彦教授が語り合った。
武田:僕は大学を卒業し、旭化成工業という会社に就職しました。そして、その会社ではこのように教えられました。「自分の目の前でボヤが起きれば、まず119番しろ」と。最初に上司に連絡するのはダメでした。なぜかというと「私たちが仕事をしているコンビナートは社会の一員だから、119番に電話しないさい」ということでした。
原口:なるほど。
武田:119番に電話したあと、会社が運営している消防隊に連絡しなければいけませんでした。そして最後に連絡するのが、上司。僕が入社する前に、石油コンビナートの事故が起き、みんなが反省しました。コンビニナートが爆発すれば、企業だけでなく、社会の問題だという認識があったのでしょう。つまり私企業だけの問題ではない、ということ。だからボヤが起きれば、まず119番に連絡しなければいけませんでした。
先日、あるコンビナートに行った際、そこの責任者に話を聞きました。今でも火を見れば、まず119番に連絡しなければいけないことになっていましたね。
福島第1原発の電源がストップしたとき、現場にいた人たちは「原発が爆発するかもしれない」と感じていたのではないでしょうか。そのとき、現場の人は119番に連絡したのでしょうか。「ひょっとしたら原発が爆発するかもしれない」「住民を避難させてくれ」と連絡したのでしょうか。東京電力というのは私企業ですが、公共性がものすごく強い。なので「危ない」と感じたら、まず消防署に連絡しなければいけません。
現在、日本に原発は54基あります。しかし電力会社は、今回の福島第1原発の事故を教訓として生かそうとしているのでしょうか。少なくとも生かそうと感じられないことが問題だと思います。
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