原発の情報を公開できない……その背景にあるものとは原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(2)(3/4 ページ)

» 2011年07月05日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

政治家は民主主義を信用していない

武田:国民は本当に不安を感じています。「重要な情報を後になってから聞かされるのではないか」「情報を後から聞いたとき、自分の子どもは被ばくしているのではないか」――こうした恐怖心を抱えている人が多い。不信感が強まる中、政府は信頼を回復するのはとても大変だと思う。

 原発事故後の政治家や官僚の対応を見ていて、僕はこのような感想をもちました。「多くの政治家は民主主義を信用してないんだな。要するに情報は隠さなくていけない、と心の中で思っている」と。

原口:その言葉はグッサリときますね。民主主義は国民とともにあり、政府は情報公開をしなければいけません。どんなに恐ろしいことであっても、どんなに受け入れがたいことであっても、国民は政府を信じていれば、その情報に対応できるはずです。

 原発で働いている現場の人に話を聞いてみると「ある機械を導入する際、自分たちの意見は聞いてくれません。すでにメーカーは決まっているのですから」と言っていました。いわば“国際原子力村”のお駄賃のために「機械が発注されているのではないだろうか」と原発の現場の人たちは話していました。

武田:原子力基本法のもっとも重要な原則は「民主・自主・公開」の3原則です。この公開というのは「原子力に関するあらゆることの公開」であって、他の政府の業務と一線を画すことを意味します。しかし現実は原子力関係の情報を公開できていない。どうすれば公開できるのでしょうか。

原口:僕は公開できないようなものであれば、原発はもう造ってはいけないと思っています。

武田:そうですね。

福島第1原子力発電所、津波来襲状況(出典:東京電力)

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