原発の情報を公開できない……その背景にあるものとは原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(2)(2/4 ページ)

» 2011年07月05日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
原口一博議員

原口:ご指摘されたことは、とても大事なポイントだと思います。「なぜ原発事故が起きたときに消防の初動が遅れたのか」――今、これについて検証作業を行っています。原発では自分たちの消防隊を所有しています。また福島県の消防署にお願いすればよかったのに、連絡が遅れている。その背景には何があったのかを、調べているところです。

 こうした問題はいくつも重なっています。責任を追及する委員会ができていますが、事故の検証は、専門家にやってもらう必要があると思っています。その際には事実に基づいて、事故を検証することが大切です。

 僕は菅首相が辞意表明をした日、民主党の代議士会でこのように言いました。「いまからでもまだ間に合うので、子どもを守らなければいけない。移住できるよう決断してくれ」と。これに対し、ある議員は「それは住民の自主判断に任せるべきだ」と言っていました。しかし、それだと絶対に事が進んでいきません。親と子どもは別れたくありません。また子どもが学校を移るということは、とても大変なこと。しかしこれは国家としてやらなければいけないことなんです。

 代議士会で、僕はもう1つ言いました。「東電から提出された放射性物質の値とモニタリングポストの値が3ケタも違う」と。東電は5月末、それまで明らかにしていなかった放射線モニタリングデータを公表しましたが、その中に以前の公表分と3ケタ違うデータが含まれていました。以前から公表していた原発正門付近での線量(3月12日15時半)は毎時5.5マイクロシーベルトだったのに対し、未公表だった別の敷地内の線量(3月12時日15時29分)は1015.1マイクロシーベルト。

 未公表だったモニタリングポストの方向には飯舘村があります。同じ時刻に放射線量が3ケタも違えば、逃げ方が違っていたはずです。しかしこの情報を後から聞かされても、もう遅い。とにかく、まだまだ正確な情報が出ていないことは大きな問題です。

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