米ドル安を嫌気して軟調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月14日 16時09分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株との連動性が薄れて為替への連動が強まっているようで、米国株が堅調にも関わらず、円高を嫌気して売り先行となりました。ユーロでは円安となっていることなどもあり、大きく下押すこともなく、外国人も引き続き買い越し基調と伝えられたこともあって、寄り付きの売りが一巡となった後は戻りかける場面もありました。ただ、昨日の終値を意識するところまでしか戻らず、上値の重さを嫌気するように後場に入ってからは売り直され、かといって下値をむきになって売り叩くこともなく、軟調な水準で小動きとなりました。懸念材料が多いなかで買い手控え気分も強いということなのだと思います。

 株式投資(投機)で短期が良いのか長期が良いのかなどと良く話題になり、結局はどっちもありだということになるのですが、先ほど長期投資で有名なファンドが非常に人気があるという記事を読んでいました。このたび社長が交代したということで記事になっており、超長期投資ということでかなり上昇率が良いということが出ていました。常に投資信託なるものを見る時に気になっていたのですが、いわゆる「ベンチマーク」といわれる株式指数などと比べることが多く、相対的な評価ばかりであり、本当に「儲かる」と言う感じはないのではないかと思います。10年間毎年20%の利回り、というのであればわかりますが、「TOPIX」はマイナスなのにファンドはプラスだというのでは話になりません。

 超長期投資が正解ではあるのでしょうが、保有銘柄のこまめなりバランスなどで単に株式を保有しているというだけのものよりも利回りが良くなければならないと思います。あまりに細かな「あや」まで取る必要はないのでしょうが、保有銘柄が割高になったところでは保有株数を減らす、あるいはすべて売却して、再度割安となったところで買うというような運用が必要となってくるのでしょう。そしてその割安割高を判断するのも相対的なものではなく絶対的なものである必要がありそうです。

 そんなことを考えていると、大きな流にのった銘柄を保有することが第一でそのなかで値動きを見ていくということになり、何も長期投資でも短期投資でも同じことをすれば良いだけということになりそうです。つまり、買ったは良いがすぐに下がってしまったということで長期保有になったというようなものではなく、単純に「良い銘柄」を選んで、安いところを買って高いところを買うだけということになってしまいそうです。結局当たり前のことを常に冷静に判断して行えるのかどうかが超短期でも超長期でも投資の世界では重要だということなのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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