なでしこジャパンは世界の常識を変えることができるのか松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年07月15日 12時26分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

世界の壁を超えた日本

 対ドイツ戦にしろ、対スウェーデン戦にしろ、痛感したのは体格の違い。日本人選手に比べると平均身長で10センチ、平均体重で8〜10キロも大きいので、大人と子供の差だ。ボディーコンタクトと空中戦のあるサッカーでは体の小ささがハンディになるが、日本はそれをテクニックと組織力でカバーし互角以上の試合運びをしてきた。2ゴールを挙げた川澄奈穂美は、サッカー週刊誌キッカーの評価で両チーム最高の1.5(最高が1、最低が6)を獲得している。

 再び自戒めいたことを書かせていただくと、これまで筆者はサッカーに限らず日本人スポーツ選手が世界で活躍するには、まず体格を世界レベルに引き上げるのが必須と思っていた。端的に書くと「小さくては無理」ということだが、なでしこジャパンの試合を見てその考えを変えた。スポーツの国際化とは外国人選手のようになることではなく、日本人の特長を生かし、精神面と肉体面で世界に通用するスキルを身につけることだった。

 精神面の変化も見るべきものがある。海外で活躍する選手が多いこともあって日本と世界の壁はずいぶん低くなってきた。「殻に閉じこもった日本人像」みたいなものを、簡単に壊してくれるところが小気味いい。

 スウェーデン戦途中出場の永里優季は2010年からドイツの1.FFCトリビューネ・ポツダムでプレーしている。試合後のインタビューは果敢にもドイツ語で答えていたが、インタビュアーのドイツ語が理解しきれず、通訳の助けを借りながらドイツ語で返答。キャプテン澤穂希の受け答えも堂々としたもので「世界で勝つことの難しさは分かっているが……」と冷静に分析しながらも、気負いなく自信に満ちている。

スポーツの国際化とは? (写真と本文は関係ありません)

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