コラム
» 2011年07月20日 11時27分 公開

松田雅央の時事日想:ドイツメディアが注目した選手は? なでしこジャパンを振り返る (3/3)

[松田雅央,Business Media 誠]
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開催国として自負

 決勝戦は試合開始からPK戦終了、そして表彰式の様子まで、番組を延期しすべて生中継された。放送中、ドイツのアナウンサーが何度も口にした言葉は「東日本大震災」「津波」「原発事故」。苦難の時期にこれだけの力を発揮した姿、そしてインタビューなどでもにこやかさを失わない対応はドイツのみならず世界にさわやかな印象を残したと思う。

 ドイツにとって準々決勝敗退は予想外だったが、その試合は国内1700万人がテレビ観戦する盛り上がり。これほどの熱狂はドイツ女子サッカーにとって初めての経験だった。今大会、スタジアムに足を運んだ観客は平均2万6400人と、サッカー女子ワールドカップ3番目の多さ(開催6回)。統計を見ると試合平均得点数はこれまで最小の2.69点(過去最多は1999年大会の3.84点)に抑えられ、ディフェンスの質の向上が見て取れる。それだけ女子サッカー全体のレベルが上がってきたということ。

 決勝のスタジアムにはブルフ連邦大統領、この日偶然誕生日に重なったメルケル首相、契約を更新した女子ドイツ代表チームのナイド監督らが席を並べた。彼らが一番沸いたのは日本が最初の同点ゴールを決めたとき。公人としてどちらかのチームに肩入れすることはないだろうが、できることなら自国を負かしたチームに優勝してもらいたいというのが本音だろう。サッカーはドイツの国技(のようなもの)だけあり、有名人や要人がよく観戦に訪れる。スポーツとはいいもので、ゴールの際だけは普段どんなに外向けの顔を作っている人でも素直な表情が出る。

 なお、ナイド監督は準決勝の日本−スウェーデン戦もスタジアムで真剣に観戦していた。ドイツも米国も、サッカー大国の威信にかけて、次の日本戦はすさまじい気合で臨んでくるはずだ。

 試合後、ブルフ大統領はインタビューで次のように語った。「素晴らしい試合だった。ドイツは準々決勝で敗退したが、(自国民は)ドイツのためだけでなく海外から来たチームのプレーをこのように賞賛している。ホスト国として素晴らしいできだった」。多くの国がワールドカップを通して相互理解を深めることができる。実はワールドカップで筆者が一番好きなのはこの点だ。

キッカー誌の大会総括記事。見出しは「(ほとんど問題のない)素晴らしい大会」。写真は優勝を喜ぶ日本人選手と、準々決勝敗退のショックで座り込むドイツ人選手
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