なぜサマデイは異分野の音楽座ミュージカルと早稲田塾を両立できるのか?嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(4/5 ページ)

» 2011年08月05日 08時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

チーム制を基本にしたネットワーク型で情報共有化

 お話を聞いていると、音楽座ミュージカルも早稲田塾も、強烈な世界観を持った創業者をトップに戴きながらも、組織としては至ってフラットな構造という印象を受けるのだが、実際はどうなのだろうか?

 「いわゆるピラミッド型の階層構造は存在しません。業務はすべてチーム制を敷いていて、1つのチームがほかのすべてのチームと情報面でつながっているというネットワーク型になっています。チーム間のフラットな関係性の中で、さまざまな情報が全チームの間で行き交い共有される仕組みです」

早稲田塾公式Webサイト

 フラットな組織構造の中で情報共有化を実現することで、1人1人のメンバーが当事者意識を持って全体最適志向で仕事に取り組んでいける。それは組織として理想の姿であるが、言うは易く行うは難しである。

 情報が量的な面はもとより質的な面においても、どこかのチームに偏在・滞留したりすれば、たちどころにチーム間の均衡は崩れ、力関係の差が生じてしまう。そうなるとフラットな関係性は崩れ、そこにいびつな階層構造が生まれてくる。

 「まさにその通りで、そうした情報の偏在が生じないようにするには一体どうしたらよいかという点は、私たちにとっても大きな課題です。

 例えば、出会い頭に声を掛け合うことを生活習慣にすること、孤立せず交流すること、問題は公開の場で解決すること、さらには情報は人から人へ伝達されると間違うことが多いので、毎月1回の全体ミーティングで全員が一堂に会し、さまざまなテーマについて議論を深めるなどの取り組みをしています。

 あるいは『コミュニケーションをとらない人間にはペナルティを!』というルールも浸透させています。でも、まだ完成という域には達していません」と、石川さんもその難しさを認める。

 社内における情報共有化実現は多くの企業における定番の課題であるが、サマデイグループとして今後どのような「解」を見出していくのか、大いに注目されるところである。

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