10周年のナチュラルローソンから、コンビニの未来を考えた郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2011年08月11日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 コンビニという業態は嫌いだった。

 1日3便の納品による環境悪化。多くの商品ロス。毎週のように新製品を出し、ほとんどがすぐに消えてゆく納入業者泣かせ。特徴のないプライベートブランド。添加物や脂質の多い食品。若者たちがたむろする犯罪の温床。大量生産品を24時間消費するせわしない生活……。1年前までそんなマイナスイメージを持っていた。

 ところが過去1年、小松菜を自社栽培する農園経営レストランの味のパスタコンビニスイーツの水準を上げたロールケーキなど、ローソンを通じてコンビニを取材して「なかなかやるなコンビニ」と思い始めた。東日本大震災で被災地のライフラインとなった姿を見て「コンビニって大切だな」と思った。ローソンに限らずコンビニを見直した。

 私の“負なる店舗イメージ”を、さらに払拭させたのがナチュラルローソン。91店舗(2011年5月末現在)に過ぎない直営チェーンは、女性の美と健康にフォーカスする。7月下旬、ナチュラルローソンの10周年を記念した「感謝の夕べ」に訪れた。

特徴的な商品群

 会場にずらりと並べられた取り扱い品目。試食もできる。食にはこだわりがたっぷりある料理研究家の相棒cherryさんの目をひいたのは、『大豆のからあげと7種野菜の彩りごはん』(ローソンでも販売中。420円)。からあげを食べたらびっくり。味も歯ごたえも肉の唐揚げそっくり。おいしくて身体にいい。

 『トルティーヤ』は“海老&アボカドポテト”でいただいた。量感とヘルシーさが絶妙に巻かれている。

『大豆のからあげと7種野菜の彩りごはん』(左)、『トルティーヤ』(右)

 減塩の梅干しを使った『ふっくら手巻き紀州南高梅』。減塩加工は食味の加減をみる手間ばかりでなく、カビを防ぐ手間もかかる。これを125円で売るのは良心的だ。

 さらに健康管理をサポートするタニタとのコラボで開発する“タニタ社員食堂”お弁当シリーズ。1食500キロカロリー以下に抑えつつ、野菜たっぷりでボリュームもある。男子も楽しめるのでヒット中。

『ふっくら手巻き紀州南高梅』(左)、“タニタ社員食堂”お弁当シリーズ(右)

 アマゾンフルーツのアサイーは強烈。グリコのキャラメルではないが、ひと口で200メートルは走れそうだ。50CCほどいただいたので翌日までピンピン(笑)。普段飲まなくなった私がワインを2杯もいただき、「こんなんでデザートまでたどりつけるのか」と思ったが、結局『コンフィチュールヨーグルト』に『トマトのヴェリーヌ』までいってしまった。浅ましいぞ我。

アサイー(左)、蔵直のワイン(右)

 低カロリー、低脂肪、減塩の食品をいただき、記者会見では震災後の新しい時代のコンビニのあり方を考えた。

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