38歳、それは会社員にとって“あきらめ”の年吉田典史の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年08月12日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

管理職は部下を育てる必要がない?

 そもそも、大多数の会社で課長や部長に最も強く求められているのは、自らが仕切る部署の業績達成である。決して部下の育成ではない。役員らが管理職を査定する際の人事考課では6〜8割が業績であり、部下の育成はせいぜい1割くらいのウェートである。業績を達成して役員や本部長になった人はたくさんいるが、部下の育成が評価されて役員になった管理職を私は知らない。

 3年間だけの営業課長をするならば、この現実を受け入れて、まずは自らがプレイヤーとして徹底して稼ぐことが大切である。それでも余力があれば、部下の育成を考えればいい。ただし、ここでも忘れてはいけない。デキの悪い社員までを真剣に育てようとすると、それはプレイヤーとしての時間も奪われてしまい、業績達成が相当に苦しくなる。

 4年目以降はこの部署にいない課長ならば、デキの悪い社員を育成しても無駄になる可能性が高い。その社員が花開くのは、8〜10年先だろう。営業課長はあくまで課長であり、決して経営者ではない。会社の仕組みを作る創業経営者ならともかく、普通の会社員の課長が業績達成よりも、部下の育成を真剣に考えることはあきらめていい、と私は思う。それは、永遠の理想でしかない。

 仮に4年目以降も今の部署に残るならば、部下の育成の優先順位は高くするべきだ。せめて5〜7年目くらいでモノになる、つまり戦力になる潜在的な可能性を持っている部下を優先的に育成する。それでも余力があれば、8〜10年先にメドが付きそうなデキの悪い部下となる。この順番を間違えないことだ。

 時折、経験の浅い管理職を見ていると、すべての部下の底上げをしようとする。それは創業経営者のするべきことであり、課長のするべきことではない。課長レベルでできないことは、早くあきらめることだ。役員になってから、考えればいいのだ。

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