なぜ“増税賛成派”が増えているのか?城繁幸×赤木智弘「低年収時代よ、こんにちは」(6)(1/5 ページ)

» 2011年08月19日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「あなたは増税に賛成しますか」――こう聞かれると、多くの人は「反対」と答えていた。しかしある層を中心に「賛成」派が増えてきているという。その背景には、どんな要因が潜んでいるのだろうか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんとフリーライターの赤木智弘さんが語り合った。

「労働」といえる「労働」が減っている

――景気低迷の影響を受け、失業率は高止まりのまま。文部科学省の調査によると、大学生の就職率は6割ほどで、半数近くの人が就職できない状況となっています。若い世代に、労働とお金を与えるにはどうしたらいいのでしょうか?

赤木智弘さん

赤木:「労働とお金」を一緒に考えている人は多いのではないでしょうか。僕は、労働とお金は違うモノだと考えています。「働けない人には社会保障を与える」といった社会にするためにはどうすればいいのか。このことを考えなければいけないと思う。

 一般的に「働いている人は偉い」「会社で働いているので、お金をもらうことができる」と考えられています。しかしコンピュータなどが導入され、これまであまり効率的ではなかった仕事がどんどんなくなりつつある。また「労働」といえる「労働」が減りつつある。例えば高齢者から若い世代に対し、技術を伝達していかなければいけないのにそれがうまくいっていない。

 労働が目減りしていく中で、働きたいのに仕事を手にすることができない人たちはどのようにして自尊心を保てばいいのでしょうか。働くことができないので、十分な生活すら送ることができません。働くことができない人たちに対し、国は慰謝料的な考え方でお金を与えなければいけない。労働かお金か、いずれかを与えなければいけないと考えています。

城:社会のステイタスとして、「働く」ことを切り離して考えることは難しいですね。しかし失業率は高く、働きたくても働けない人はたくさんいる。ただ、だからといって「貧しくなった」とは言い切れない部分もあるのではないでしょうか。

 僕が子どものころと比べると、今の日本は裕福になっています。例えば昔は牛丼のチェーン店は少なく、食べる機会もほとんどありませんでした。また牛肉といえば国産牛が多かったので、価格が高かった。なので一般的な家庭で牛肉を食べる機会は少なかったですよね。

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