なぜ“増税賛成派”が増えているのか?城繁幸×赤木智弘「低年収時代よ、こんにちは」(6)(3/5 ページ)

» 2011年08月19日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

赤木:昔はコミュニケーションをとるために、ある程度、普通の価値観をもたなければいけませんでした。しかし今はその価値観を無視しても、コミュニケーションが成り立つ時代になってしまった。

城:ネット上に、コミュニティができているわけですね。

赤木:そうです。また、そのコミュニティに向けた商業的なものがたくさんあります。その代表的な例が、AKB48ですよね。

城:なるほど。

赤木:今の時代、CDはなかなか売れません。そうした中でも、AKB48のCDはものすごく売れている。昔のようにたくさんの人に向けて売るのではなく、ファンになってくれた人にどんどん売っていく。こうした商売が成り立つのは、コミュニティという礎があるから。もしコミュニティがなければ、むなしいだけですよ。同じCDを何枚も買うなんて。

城:ハハハ。

AKB48のCD+DVD『ここにいたこと』(キングレコード)

破たんしている年金制度

赤木:年金制度はもはや破たんしています。僕らから下の世代は満足なサービスが受けられると思えません。明らかに受け取る額のほうが少ないはずなんですよ。仮に同じ金額を受け取ることができても、歳を重ねてからもらうよりも若いうちにもらうほうがメリットも大きいのではないでしょうか。

 政府は「年金を守れ」などと強調しますが、これがどうしても理解できません。なぜ年金を守らなければいけないのか。完全に破たんしているのに。

城:僕はこれまで「増税しろ」と言ってきました。しかしこれまでの日本は増税がタブーでした。しかしここ3〜4年、増税がタブーでなくなりつつある。

 世論調査を見ても、増税容認派が半数を超えています。半数を超えた理由として「震災でショックを受けたから」「マスコミのキャンペーンが利いている」という人もいますが、これは間違っていると思う。高齢者が「このまま財源が足りなくなれば、社会保障をカットされるかもしれない」と思っている人が増えているから。そうした高齢者層はこれまで増税反対だったのに、最近は賛成に回り始めているんです。

赤木:なるほど。

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