金融不安や景気後退懸念からリスク回避の売りも嵩んで大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月19日 08時46分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8943.76▼113.50

<TOPIX>767.31▼9.34

<NYダウ>10990.58▼419.63

<NASDAQ>2380.43▼131.05

<NY為替>76.57△0.01

金融不安や景気後退懸念からリスク回避の売りも嵩んで大幅下落

 米FRB(連邦準備理事会)が欧州銀行に対して監視を強化していると伝えられたことで、米金融機関への懸念も強まり、金融不安が強まったことや朝方発表された新規失業保険申請件数は予想を上回り雇用の悪化が懸念され、中古住宅販売も予想を下回り、フィラデルフィア連銀景気指数は前月のプラスから大きく下落、マイナスとなったこと、そして大手金融機関が2011年、12年の世界経済成長予想を引き下げたことなどから欧米株式は暴落、大幅安となりました。

 株式相場だけではなく、リスク許容度の低下=信用収縮からリスク回避の動きが強まって商品相場も大幅下落となるなかで、金先物だけはリスク回避先として大幅高となりました。10年米国債も利回りが一時2%を割り込むなどリスク回避の動きが鮮明となりました。世界的な景気鈍化懸念が強まり、金融不安も強まったことでリスク許容度が一気に低下、リスク回避の動きが一気に強まったということでしょう。QE3(量的緩和)や世界的に協調した景気浮揚策がみられないとスパイラル的に暴落が続くことになりそうです。まずは資金の潤沢な供給がみられるのかどうかというところだと思います。

 個別には総じて大幅高となるなかで、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングなど金鉱株は軟調ながらも比較的底堅く、プロクター・アンド・ギャンブルなどディフェンシブ銘柄に底堅いものもみられました。ウォルマートは買戻しもあって堅調となりましたが、コカ・コーラは軟調、ホーム・デポも大幅安と個人消費関連銘柄も軟調なものが目立ちました。景気敏感銘柄は大きく売られるものが多く、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、フォード・モーターなど4〜6%安く、インテルやIBM、アップルなどハイテク銘柄も3〜5%程度安くなりました。JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も大幅安となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が底堅い展開となったにも関わらず、主力輸出株を中心に売られ大幅安となりました。朝方は底堅さもみられたのですが後場に入ると売り直されて大幅下落となりました。外国人の売り越し基調が続いており、持ち高調整の売りが出ているのだと思われます。また、半導体製造BBレシオが2カ月連続で減少となったことも半導体関連銘柄などを売り急ぐことになり、指数を押し下げる要因となりました。幕間つなぎ的にインターネット関連銘柄などが買われましたが相場全体の下支えとはなりませんでした。

 欧米株式市場が大暴落となったことから日本市場も大きな下落となりそうです。週末ということもあり、手仕舞い売りやヘッジ売りも嵩むものと思われ、主力銘柄などを中心に売りが嵩みそうです。ただ、比較的為替が落ち着いていることや欧米株式に比べて上値も重かったということもあり、底堅さも期待されます。既に売られすぎの感も強いことから、下げ渋りとなるのかどうか、幕間つなぎ的に買われているインターネット関連銘柄などに値持ちの良さが見られるのかどうかが注目されます。

 シカゴ市場(CME)の日経平均先物も大きな下げとなり、下値を試す動きには違いなさそうです。先週の安値水準である8600円台で下げ止まり、結局は8800円〜900円水準の節目で下げ止まったというような底堅さもみられるのではないかと期待されます。8700円台まで落ち込む場面で売り難さが見られるのかどうかが大いに注目されますが、昨日までも買われていなかった分、底堅く、8800円〜900円水準の節目での底堅さもみられるのではないかと思います。

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