欧米市場が大幅安となったことから日本市場でもリスク許容度の低下=信用収縮の動きからリスク回避を急ぐ動きとなって売りが先行、外国人も引き続き大幅売り越しと伝えられたこともあって大きく売られました。大幅下落の要因はいくつもありそうですが、世界的な景気鈍化懸念が根強いことで何らかの理由を付けては売られるということなのだと思います。世界同時株安となったなかで日本市場でスパイラル的な売りを止められはずもなく、地震の影響もあって最後に売り直され、指数も大幅安となりました。
大幅下落となりましたが、これまで戻りも鈍かった分、欧米市場よりも下落が小さいようです。ほぼ全面安となるなかでインターネット関連銘柄ばかりが幕間つなぎとして買われているようです。主力銘柄もさすがにここまで下がっているので大幅安となるものも少ないのですが、それにしても売られ過ぎではないかと思います。何を見て株を売り買いするのか、ということを先日来述べて来ましたが、本当に目先の値動きばかりを気にしている向きも多いのではないかと思います。
主力銘柄のPER(株価収益率)は軒並み10倍を割り込み、PBR(株価純資産倍率)も1倍を割り込んでいる銘柄がばかりです。もちろん、今後資産の目減りや業績の悪化などを先読みしているということでもあるのかもしれませんが、ごくごく単純に考えて今後10年間平均して予想利益程度の利益が出ると仮定すると、主力銘柄の資産を担保にして株を全て買い10年間持ち続けるとタダでその会社を手に入れたのと同じことになります。もちろん、今の株価で全ての株を買うことも、会社の資産を担保に全額借り入れることも実現は不可能ですが、それだけ将来かなり業績が悪くなり資産が目減りしない限り割安だということになるのではないでしょうか?
1998年(だったと思います)に株価が100円を割り込んだ銘柄が東証一部で200銘柄程度になったことがあります。その時100円を割り込んだ銘柄を全て買っておけばそのうち2割が倒産しても8割が倍になれば大もうけできると勧めたことがあります。それに「金融不況」時の日経平均が7000円まで下がったといっても、あくまでも瞬間的であり、為替の水準等に違いはあるものの、安いところか高いところかといえば、かなり安いところということになるのではないかと思います。PERが10倍を割り込んでいるということは株価が5割上がってもPERは15倍に満たないわけで、PERが10倍を割り込んでいる銘柄を10銘柄でも買えば、8銘柄くらいは株価5割増となる可能性もあるのではないかと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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