売られ過ぎの修正から大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年08月30日 16時33分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 欧州金融不安と米国の景気鈍化懸念が薄れ、米国株が大幅高となったこともあり、日本市場も買い先行となりました。ただ、為替が円高傾向であり、外国人も相変らず売り越しと伝えられたこともあり、上値の重い場面もみられました。それでも、売られすぎた銘柄も多いだけに水準訂正の動きがみられると指数も押し上げられました。積極的に買い上がるような腰の据わった買いも特にみられなかったのですが、新首相が決まったこともあって取りあえずは素直な反応となったものと思います。

 米国株式市場には素直な反応となりましたが、日本の新首相誕生にはほとんど反応はみられませんでした。昨日の党首選でも同じですが、政治でも経済でも日本市場では反応し切れないことが多いのではないかと思います。先ほども話していたのですが、本当に日本の株式市場では何をみながら売り買いしているのかと思います。本日の相場でも一斉に持ち上げられており、しかも円安となったということでもなく、円高を放置していた張本人が新首相となったという事実にも反応はなく、物色対象も絞り切れないので盛り上がりに欠けるのでしょう。

 株式を推奨することも、手書きの株式資料を持ち出すことも今では個々の証券営業マンの間では行われていません。もちろん今の主流がインターネットを通じた株式の売買であることからいちいち電話で銘柄を推奨しなくても、手書きの資料を見なくても「上がっている株」や「下がっている株」などすぐにわかります。株価だけでなくニュース等も瞬時に誰もが得ることが出来るので、一斉に動くことも多く、個別の値動きとなる銘柄が少なくなっているのでしょう。また、信用取引なども簡単に行うことが出来るので、目先の値動きについて行くということになるのでしょう。

 情報過多の話もこのコラムで何度もしていますが、本当に情報の取捨選択は必要ではないかと思います。実際に株価に影響を与えた材料というものを見間違えてしまうと、「まだ買える」のか「もう買えない」のかの判断も間違えてしまうこともありそうです。「もう買えない」として買いを見送ったものがまだ上昇となったとしても儲けそこなうだけで損をすることはないのですが、「まだ買える」として間違えて買ったものは、間違いに気付いた瞬間に売らないと売るタイミングを逸してしまったりします。「塩漬け株」が多い投資家はおそらく、こうした判断に間違えたことも気がついていないのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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