為替ニュースが難しい……まずは三大通貨の関係を理解しよう南はるなのFXのヒミツ(2/3 ページ)

» 2011年09月01日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]

取引高が最も多いのは「米ドル」

 「米ドルの取引高は世界最大」と書きましたが、具体的にはどのくらいの規模なのでしょうか。BIS(国際決済銀行)が2010年10月に発表したデータによると、世界の為替取引の1日当たりの総額約4兆ドルのうち、米ドルがらみの取引は全体の84.9%(ただし、取引には2つの通貨が関係しますので、総数を200%としています)です。次に取引高が多いユーロは39.1%、円は19.0%ですから、世界三大通貨といえ、米ドルとの差は歴然としています。なお、かつての基軸通貨、英ポンドの割合は12.9%となっています。

 通貨ペア毎の取引比率でみると、最も取引が多いのがユーロ/米ドルで全体の28%、続いて米ドル/円が14%、英ポンド/ドルは9%(こちらの総数は100%です)。

 米国の景気回復への失望感が広がる中、投資家はより安全な投資先に資産を移そうと考えます。最近は、安全性が高いとされる「金」などにマネーが流れる傾向もありますが、外貨としての保有を考えるなら、米ドルの代替候補の一番手はユーロ、次に円ということになります。ユーロは米ドルに次ぐ“準主役級”の通貨ですが、ご存じのとおり、現在は経済的に不安のある国々を圏内に抱えている状態ですから、資産を米ドルからユーロに移すだけでは心配です。そこで、相対的に安全性が高いと考えられる日本円が買われるのです。

 そうはいっても「日本も今大変な状態ではないか!」と思う人もいるでしょう。もちろん日本経済にも問題が山積していますが、それでも巨額の貿易黒字を計上する国であり、また、日本国債のほとんどが国内で保有されている点で他国とは異なっていますから、他との比較において、まだ安全性が高いとみられているのです。

取引高が最も多いのは「米ドル」

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