昨日までの急落の反動から買われ大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月07日 16時02分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 3連休明けの米国市場は軟調となったのですが、為替が円安に振れたことや昨日の大幅下落の反動から大幅高となりました。米国市場でも大幅に売られたあと切り返したことや欧州金融不安も一服となったことなども買われる要因となったものと思います。日銀の金融政策決定会合では追加の金融緩和はみられず、円売り介入も期待外れとなったのですが、特に材料視されることもなく、世界的な景気鈍化懸念が薄れたこともあって値持ちの良い展開となりました。

 サブプライム問題からリーマンショックに至る過程と似たような雰囲気になったのですが、金融政策や景気刺激策、雇用対策等が各国で打ち出され、週末のG7でも何らかの協調は出来るのではないかとの見方もあるようです。ただ、スイスがスイスフラン高を是正するために強硬手段に出たことでもわかるように、円高の影響はこれからまだ取りざたされそうです。

 米国市場では引き続き「FRB(連邦準備理事会)が何とかしてくれるという気分も強いようですが、日本では相変らず日銀も政府も政策の後追いや他国への追随だけということなのでしょう。これだけ円高で海外に出て行く企業が多く、企業業績そのものも雇用も懸念が残るなかで、さらに増税となると本当に日本脱出と考える向きも多くなるのではないかと思います。

 「空洞化」を放置するような施策が多く、少なくとも実力以上に買われている円を実力程度に持っていくとか、以前から述べていますが、円高で良しとするのであれば円高で何をするのか、どんなメリットがあるのかをしっかりと示して欲しいと思います。デフレが続き株価はPBR(純資産倍率)1倍まで売られ、円高が進むという状況で増税をするという状況で暴動が起きないのが不思議なくらいです。こうした無策の政府が続いているうちは株価の上値も限られると思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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