米国株が欧州金融不安が薄らいだことを好感して買われ大幅高となったことで日本市場も買い先行となりました。3連休を控えた週末、為替も円高気味ということで上値の重さも懸念されたのですが外国人が大幅買い越しと伝えられたこともあり、最後まで値持ちの良い展開で大幅高となりました。これまで大きく売られていた主力銘柄が特に買い材料が出たということではないのですが、買い戻しを急ぐ動きどもあって大幅高となり、指数を押し上げました。
ほぼ全面高となるなかで電力株が売られました。東京電力(9501)も電力料金の値上げが取りざたされて、コスト削減等を求めるという政府のコメントも伝わり、大幅安となりました。素朴な疑問として思うのですが、東京電力は民間会社であるにも関わらずどうして今回のような事故を起こしてつぶれず、国民に負担を課すのでしょうか?かつての「住専問題」などでは銀行や生命保険会社が数多く破たんし、JAL(日本航空)も破たんしたのですが、何故電力会社だけ、株主責任も経営責任も問われないのでしょうか。
普通に考えれば「重大な事故」を起こして損害賠償が払えなければ通常の会社であれば「倒産」してしまうのではないでしょうか?そうなると銀行も債権放棄を余儀なくされ、東京電力の経営陣も一新する必要があり、また、日本航空や米国GM(ゼネラル・モーターズ)のようにいったん市場から退場させて再起を図るということになるのではないかと思います。政府もコスト削減などを求めるのではなく、何故、利用者負担になるのか、何故、税金を使うのかをきちんと説明しないといけないのではないかと思います。
諸々の事情はあるのでしょうがどうもすっきりとしません。まあ、実際には倒産したような株価になっているので、「株主責任」という意味では十分に責任を果たしているのでしょうが、実際に政府の管理下においてコスト削減をする少なくとも原子力発電所で実際に処理に当たっている従業員以外は賞与はもちろん「ゼロ」にしなければならないでしょうし、役員はほとんどリストラの対象となるのではないかと思います。また、売却できる資産は全て売却した上でそれから値上げとか、そういうことでないと、損害賠償を払うための値上げは絶対にだめだと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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