ユーロが売り直されたこともあり軟調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年10月05日 18時04分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株は大幅高、懸念されたユーロなど為替も円安に振れたことから買い先行となりましたが、依然として売り越しと伝えられたことやイタリア国債の格下げのニュースなどもあってユーロがじり安となったことなどから冴えない展開となりました。欧米での動きを先取りしているということなのでしょうが、地合いの悪さが悪材料を際立たせているというような雰囲気です。業績の上方修正を発表した企業や好調な決算で史上最高益を更新しそうだと新聞で報じられた銘柄まで売られるというような状況で、悪材料には敏感に、好材料には鈍感にというよりも好材料も悪材料として反応するような動きになりました。

 欧州の金融不安がさらに取りざたされていますが、ギリシャが終われば今度はイタリアだスペインだということなのでしょう。そうこうしているうちに信用収縮、欧州への投資が滞り、欧州域内でもお金の流れ滞って、不況への道を歩むことになると市場では考えているかのようです。米ドルが1ドル=80円を割り込んでも、ユーロが1ユーロ=100円という歴史的な安値水準になっても、何の対策もない政府や日銀というのも情けないですが、地合いの良い時であれば、為替に関係のない銘柄などを物色して相場自体は盛り上がるということもあるのでしょうが、地合いが悪いので何でも悲観的に考えてしまうようです。

 米国で「FRB(連邦準備理事会)が何とかしてくれる」という雰囲気になれば、景気の悪化が止まるというように、「日銀が何とかしてくれる」というような雰囲気になるかどうかということも、大切ではないかと思います。昨日述べたように、足元の業績などからは決して売り急ぐような場面ではないのですが、雰囲気の悪さが売りを呼び、売られることで株価が下がってさらに雰囲気が悪くなるというような状況になっているのだと思います。

 日銀のETF(上場投資信託)買いも大きく下落した時の買い支えではなく、こういう時に「米国株高に反応しても良いんだ」と言うような雰囲気、つまり、「雰囲気」を好転させるために買い上がるということがあっても良いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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