前日の大幅高の反動もあって冴えない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年10月12日 15時53分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株はまちまちとなり、引け後の非鉄大手の決算は予想を下回り、タイの洪水の影響も懸念されるなかで売り先行となりました。朝方発表された機械受注は大きく予想を上回ったのですが、懸念材料も多く、特に取りざたされることもなく前日の大幅高の反動もあって軟調となりました。それでも外国人は引き続き買い越しと伝えられたこともあり、目先の利益確定売りが一巡となると今度は値持ちの良さや為替の落ち着きを好感して買戻しを急ぐ動きとなり、下げ幅縮小となる場面もありました。懸念材料も多いということで最後まで買い切れず、冴えない展開となりましたが、底堅さもみられ、本日も指数は方向感に乏しい展開となりました。

 まだまだ疑心暗鬼な相場展開のなかで好材料に素直に反応しきれないという状況です。為替に方向感がみられないことが一つの要因であり、例え好調な決算を発表しても、機械受注が予想を上回っても円高が進むのであれば収益上振れは期待できないということでしょう。欧州金融不安が薄れたということで世界的な景気鈍化懸念も薄れ、各国株価も戻っていますが、為替、特にユーロの戻りは鈍くなっています。日本円は「リスク回避」のなかで買われたということでしたが、リスク回避の動きが一段落となっても円高が進むことはなくても高止まりしているという状況です。

 米国の企業決算の発表が始まるなかで「ドル安メリット」で順調な業績を示している企業も出てくると思われます。欧州でも自動車メーカーなどはユーロ安メリットを受けているのだと思います。新興国の生活水準が向上、人口が増えるなかで経済規模もどんどん拡大し、その恩恵を受けて欧米の企業、日本や韓国、中国などの企業が潤っているとすれば、円高ということで、日本企業は今日では格段に不利な状況と言えるでしょう。韓国ではウォン安が行き過ぎてデメリットも出ているようですが、各国の自国通貨安政策とも言えるような通過政策に日本の施策がついていけていないということでしょう。

 逆に言えば、これ以上円高が進まないということがある程度の確信を持てる、あるいは円高の修正として円安方向に水準訂正となるというようなことがあれば、日本の輸出企業を見直す動きになり、日経平均も節目を抜けて戻りを試すということになるのでしょう。また、円が高止まりとなっても、海外企業を積極的に買収し、国内空洞化に目をつぶって日本からの輸出比率を極力減らしているような企業=円高対策ができている企業などはどこかで見直されてくると思われます。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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