除染活動、現場ではナニが起きているのか(2/5 ページ)

» 2011年10月26日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

家の中の除染

――家の中はどのようにして除染すればいいのでしょうか?

坪倉氏:家の中を除染しようと思うと、まずどこで線量を計測すればいいのかという問題がある。床から5センチ、50センチ、1メートルで計測すればいいのか、部屋の中央で計ればいいのか、それとも隅で計ればいいのか。どの方向で計測すればいいのか、どのようにすれば効率よく計測できるのか。まだまだ試行錯誤の段階と言っていいだろう。

 私たちは家の中であれば、床から5センチ、1メートル、2メートルで計測している。狭い部屋であれば部屋の中央で、広い部屋であれば2メートルごとに、それぞれ計測している。

 もし線量の高いところがあれば、周囲5メートルを計測し、どこに原因があるのかを調査する。雨どいや側溝だけでなく、1つずつつぶしていく作業だ。そして庭の線量が高ければ、家の中の線量を下げるために、庭を除染する。ここで大事なのは庭の線量を下げるのが目的ではなく、庭から近い家の線量を下げるために除染を行うということ。雨どいの線量が高ければ、雨どいをきれいにするのが目的ではなく、家の中の線量を下げるために雨どいをきれいにする。私たちは、こうした考えで除染活動を行っている。

 家を除染する場合、まず線量を丁寧に計測する。1階だけでも15〜20カ所ほど。「玄関を計測したら0.5マイクロシーベルトだった。除染すると0.4マイクロシーベルトになったからよかったね」といった話ではダメ。なぜなら家の1点だけを計測しても、除染の効果が分からないからだ。家の中の線量は、できるだけ細かく計測しなければいけない。

 ある家の庭を除染したところ、地上1メートルの地点で線量が60%ほど下がった。しかし家の真ん中の部屋を計測すると、線量は全く変化しなかった。なので数値の高いところがあれば、そこを中心に半径5メートルを計測しなければいけない。でないと除染をしていても、自分たちが何をしたのか分からないことになってしまうからだ。

 また私たちが住んでいる家というのは、凸凹が多い。部屋を除染するにしても、いろいろなことを考える必要がある。部屋の中央は? 部屋の隅は? フローリングそしてカーペットは? といった感じで細かくつめていかなければいけない。

家の中の線量の変化

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.