欧州金融不安が薄れ買戻しを急ぐ動きもあって大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年10月27日 16時42分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国株堅調、ダウ平均が大幅高となったことから買いが先行となりました。ただ、外国人が売り越しと伝えられたことや期待された円売り介入がみられなかったことから上値も重く、一時軟調となる場面もみられるなど相変わらず方向感に乏しい展開となりました。前場の引け際に欧州での包括合意が伝わると先物を買い戻し動きになり指数は一気に切り返し大幅高となりました。日銀の金融政策決定会合の結果が伝えられると失望感もあって手仕舞い売りに上値を押さえられ、為替の介入もなかったということで買戻しを急ぐ動きもなく、上値の重い展開となりました。

 すでに欧州での金融不安は織り込まれているかと思いましたが意外に買戻しを急ぐ動きとなりました。為替は介入期待からドルが堅調となっていたのですが、金融政策決定会合の結果が発表されてもいっこうに介入がみられないことで失望する向きも多かったものと思います。先日来「何を見て株を売り買いするか」ということについて考えてきましたが、相変わらず「相場全体」で動くことが多くテーマ性のない相場展開が続いているとみてもいいのだと思います。

 突如として買われてみたり、特に材料がないなかで売られたりと目先の持ち高調整に振らされることも多いのですが、相場全体の流れのなかで指数が高いから買うとか、全体に手控え気分が強いから売るというように、特にその株でなくてもいいような材料で売り買いされていることが多いような気がします。それであれば、相場全体の動きを示している先物の売り買いやETF(上場投資信託)への投資で良いのではないかと思います。

 もちろん、相場全体の流れを見て、そのなかでテーマ性を見たり、値動きの良し悪しを見たりしながら売買するのでしょうし、長期投資であれば、「買える水準かどうか」を見ながら物色する銘柄を絞ってタイミングを計るということになるのでしょう。もちろんこうしたいろいろな見方で売り買いするから株価の動きがあるのですが、やはり「これ」と言った100%間違いのないようなものは少ないと思います。ですから、その間違いを「時間」というものでカバーするのか、「損切り」などでカバーしていくのかをしっかりと決めて投資をするということが必要なのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.