ギリシャ問題の解決策と好調なGDPを好感して大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年10月28日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8926.54△178.07

<TOPIX>762.79△16.31

<NYダウ>12208.55△339.51

<NASDAQ>27738.63△87.96

<NY為替>75.95▼0.25

ギリシャ問題の解決策と好調なGDPを好感して大幅高

 欧州債務問題の解決に向けた包括戦略合意が改めて好感されたことや朝方発表されたGDP(国内総生産)が個人消費や設備投資の伸びから予想を上回ったことが好感されて大幅高となりました。住宅関連の指標は芳しくないものもみられたのですが新規失業保険申請件数もほぼ予想通りとなったことなどもあって素直に欧州金融不安の解決への進展を好感することになったものと思います。欧州金融機関に対する懸念が薄れたことでリスク許容度が一気に上昇、世界的な景気鈍化懸念が薄れたことで買い急ぐ動きとなりました。

 世界的な景気鈍化懸念が薄れたというよりは世界のお金の流れが滞ってしまうことが防がれたということで株価の上昇につながったと思われます。景気の先行きには懸念も残るのですが、「リーマン・ショック」と言われたときに信用収縮が一気に起こり、世界中の資金の流れが止まって、資金の引き上げに出たことが大暴落、そして景気鈍化につながったのですが、今回は取りあえずその資金の流れを止めることなく、再度循環させる方向に向かったのではないかと思います。あとは世界のどの地域にお金が流れるのか、何にお金が流れるのかなどを見ていくことになるのだと思います。

 個別には欧州金融不安、特に金融機関への懸念が薄れたことで、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株が軒並み大幅高、景気鈍化懸念が薄れたことでキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、フォードやアルコアなど景気敏感株も大幅高となり、インテルやIBMなどハイテク銘柄も世界的な景気鈍化懸念が薄れてくるとの思惑もあって大幅高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高を受けて買い先行となったものの円売り介入期待が強かったにもかかわらず朝方から介入がみられなかったことや外国人が売り越しと伝えられたこともあり、売られ、軟調となる場面もありました。ただ、欧州での首脳会合で包括合意が得られたとのニュースが伝わると先物にまとまった買いが入り、買戻しを急ぐ動きもあり、後場からは大幅高となりました。日銀の追加の金融緩和も発表されたのですが、予想通りとなったことや対米ドルで円高が進んだことが嫌気されて伸び悩みとなる場面もあったのですが、売り急ぐ動きにはならず、値持ちのいい展開が続きました。最後は買戻しを急ぐ動きが見られ、日経平均は高値引けとなりました。

 欧州金融不安が薄れ、米国景気鈍化懸念も薄れたことから米国株の大幅高を受けて買いが先行となりそうです。昨日の相場である程度米国株高を織り込んでおり、米国株ほどの上昇とはならないのでしょうが、米国景気鈍化懸念が薄れた分の上昇はみられると思われます。ただ、ユーロなど他の通貨では円安となったのですが、対米ドルでは逆に円高となっていることが上値を押さえる要因となりそうです。加えて月末近くの週末ということで手仕舞いの買い戻しが早めに出るとその後の手仕舞い売りに上値を押さえられる可能性もありそうです。売られ過ぎた銘柄ほど買い戻しを急ぐ動きで上昇幅が大きいのではないかと思われます。

 日経平均は節目とみられる8800円〜900円水準を抜けて来そうな勢いになりました。ただ、ユーロでは円安となったものの対米ドルでは円高が進み、上値も押さえられそうです。節目とすれば9200円〜300円水準が次の節目になりますが、円高が止まり円安に反転することがなければ、9000円前後までの上昇に止まり、まだ8800円〜900円水準での底値固めということになるのではないかと思います。円高対策、介入などが見られれば9200円〜300円水準の次の節目を目指すことになるのでしょう。

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