コストとメリットの関係は? 再生可能エネルギーの未来松田雅央の時事日想(2/4 ページ)

» 2011年11月08日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

コストを見積ると

 開発・導入コストとして挙げられる要因は以下の通り。

差額

  • 割高な再生可能エネルギーを使用することによる経済負担の増加。
  • 現在のところエコ電力(再生可能エネルギー電力)の発電コストは化石エネルギーや原子力よりも高額。そのため再生可能エネルギー法に基づいた「負担金」を徴収して差額を埋め合わせている。これが年間90億ユーロ(9647億円、2010年)となる。
  • 負担金は電力価格に上乗せされている。年間3500kWhを消費する平均的な家庭であれば月々約10ユーロ(1070円)に相当。
  • 電力だけでなく熱や燃料についても差額が発生する。ソーラー温水器や木質ペレット用燃焼設備はまだ市場価格が高く、社会全体で年間約17億ユーロ(1822億円、2010年)のコストアップ。
  • 負担金の動向を予測するのは難しいが、最新の研究によれば短期的に穏やかな上昇を続け、その後減少に転じる。長期的にみて設備の値下がりが見込めるのがひとつの要因。また石油・天然ガスの価格が長期的には値上がりし、再生可能エネルギーとの価格差が縮まるのがもうひとつの要因。

標準化のコスト

  • 周波数も電圧も極めて安定した電力を供給する大型発電所と異なり、エコ電力は気象条件による品質の変動が大きい。品質も出力も多様なエコ電力を統合しなければならず、その設備投資額は年間約3.9億ユーロ(2009年)に上る。

取引のコスト

  • 極めて多数のエコ発電事業者が売電する仕組みが必要となる。電力だけでなく、地域温水供給による熱を売買する仕組みも必要。

エネルギー設備のコスト

エコ電力を効率良く安定的に使用するため、スマートグリッドに代表される革新的な送電システムが不可欠。

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