米国株が大幅安となり、信用収縮=リスク許容度の低下も見られて大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年11月10日 16時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅下落となりユーロ安もあって日本市場も大幅下落となりました。欧州金融不安や米国での金融規制の問題、中国の景気鈍化懸念などもあり、世界同時株安となりました。ただ、リスク許容度の低下も一巡となれば底堅さもみられると思われ、下値も売り難くなってくるのではないかと思います。外国人も完全に売り越しということでもなく、下げ渋る場面もみられました。

 米国市場は大幅下落となり、その要因がイタリア国債の7%乗せとされています。ただ、イタリア国債が7%に乗せた理由は昨日からいわれていた証拠金の引き上げであり、その結果リスク許容度の低下=信用収縮となったということです。また、加えて米国で外国の金融機関に対する資本規制強化の話や中国でバブルが崩壊=上海の不動産価格が大きく下落しているというようなニュースもあり、さらに信用収縮となったことで、株式市場は大きな下落となりました。

 ただ、商品相場も軟調となったのですが、下げ幅が限定的であり、それほどリスク許容度が一気に減少したということでもなく、信用収縮の動きが強まったというよりはまだ、目先の調整ということではないかと思います。昨日から突然イタリアの問題ばかりが取りざたされていますが、根本的にイタリアとギリシャは問題が違うことでもあり、イタリアは基礎的財政収支も黒字であり、すぐにデフォルトとなることはないと思います。

 要するにイタリアの問題ということで騒ぎすぎているという印象もあり、少し冷静に見ておいた方が良いのではないかと思います。実際にイタリアの財政が破たんするのかどうか、そして中国は景気鈍化、バブル崩壊となるのかどうか、米国では本当に景気が悪いのか、あるいはQE3に対する催促だけなのか、そして日本は悲観的に成り過ぎていないかどうか、しっかりと見極める必要があるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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