ホンダ「N BOX」は何がスゴイのか東京モーターショー(1/2 ページ)

» 2011年12月03日 01時52分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
EV-STERと伊東孝紳社長

 12月3日から一般公開が始まる第42回東京モーターショー2011。本田技研工業のブースでは、2012年夏から日本でも販売される「FIT-EV」や、次世代電動スモールスポーツコンセプトモデル「EV−STER」、小さな2輪車を中に収納できるマイクロコミューターなどさまざまな展示が行われている。その中でも、もっとも広いエリアを使い、詳しく紹介されているのが、「HONDA Nシリーズ」だ。


N BOXの「N」の意味

 ホンダの新しい軽自動車が「HONDA Nシリーズ」、その第1弾モデルが、12月16日発売の「N BOX」「N BOX Custom」である。会場ではN BOXが「コンセプト1」、N BOX Customが「コンセプト2」として、コンセプト3、4と並んで展示されている。

 Nシリーズは、「NEW」「NEXT」「NIPPON」「NORIMONO(乗り物)」の略。また、ホンダの初めての量産軽自動車「N360」にも原点回帰するような名称になっている。

12月16日発売の新型軽自動車「N BOX」。メインモデルのGグレードは、FFが124万円、4WDが136万円

 Nという名前を考えたのは、デザイナーの佐藤可士和氏だ。佐藤氏はネーミングだけでなく、Nのロゴ、CMなどのディレクションをトータルで手がけるという。もともと90年代後半からホンダのステップワゴンの広告キャンペーンを手がけていた佐藤氏は、「ファミリーカーといえばセダンだった時代に、ミニバン(ステップワゴン)が出てきた。『N』は当時のステップワゴンと同じ位置に来ているのではないいか。軽自動車というよりは、小さくて、性能や品質がいい乗り物。今、社会からそういう乗り物が求められているんじゃないか」と話す。

「N BOX」「N BOX Custom」のロゴ

車内で使えるスペースを可能な限り広くする

 Nシリーズで重視されたのは、「いかに車内空間を広くするか」。このために、シャシーだけでなくパワープラントもまったく新しく設計された。

「N BOX Custom」。メインモデルのGグレードは、FFが144万円、4WDが156万円

 軽自動車専用のエンジン設計にあたっては、ホンダの元F1チームメンバーが開発チームに加わったという。エンジンそのものをコンパクトにするだけでなく、エンジン回りの部品も小型化。衝突時の安全を守る(エネルギーをいかに吸収するか)新しい構造も開発することで、非常に小さなエンジンルームを実現。エンジンルームのスペースを前方に詰める形で短くした。また、FITで採用されているセンタータンクレイアウトを軽自動車では初採用。通常は後部座席の下にある燃料タンクを前の座席の下へ収めることで、後部座席から後ろの段差を減らし、使える空間を拡大している。

 もう一つのNシリーズのコンセプトが「ミニバンの価値を軽自動車で実現する」である。乗り心地を左右するシートはミドルクラスのセダンと同等サイズのものを採用、低反発な柔らかさが得られる特殊な加工をシート表皮の裏側に施した。

 運転席からの目線の高さは地上から140センチメートル前後と、小柄な人でも運転しやすい高さだ。サイドミラー、下部を広角化したドアミラー、後方視覚支援ミラーの三点セット「ピタ駐ミラー」によって、死角をできるだけ減らし、縦列駐車や車庫入れもしやすくなっているという。

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