中国や豪州の景気鈍化懸念が強まり大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年12月06日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株は堅調となったのですが、日本市場は欧州各国の格下げの話題などから買い気に乏しい中で大幅安となりました。特に売り急ぐような要因がみられたということでもないのですが、オーストラリアの利下げもあり、欧州景気の鈍化懸念から中国やオーストラリアなどの景気鈍化、世界的な景気鈍化懸念が強まり手仕舞い売りを急ぐ動きとなりました。先週に大きく戻したことで、ちょっとした懸念材料で売り急ぐことになったのだと思います。

 相変わらずやる気のない相場展開となっています。特に売り急ぐほどの材料でもないような気がしたのですが、「閑散に売りなし」とはいかず大きな下げとなりました。最近では証券業界の仲間で会って話していても特に景気の良い話も聞かず、インターネット証券でもかなり売買高などは落ち込んでいるのではないかと思います。株式市場は大きく動けば、下でも上でも儲かるような気がするのですが、どうも最近のように膠着感が強く、動き出すと一斉にわけもなく動くような相場では個人投資家も機関投資家もなかなかうまく儲からないようです。

 株式ではなかなか儲からないから機関投資家なども株式投資を控え、そして機関投資家などが手を引くと売買高が減り、さらに冴えない相場となるということだと思います。本当であればこうした「冴えない」相場の時に買っておいて、皆が「さあいけるぞ!」と勢いたったところで手仕舞うというのがいいのでしょうが、今度はリスクを取れないので、少しでも下がると損切りすることになってしまうということなのだと思います。

 個人投資家でも今は手数料も安くなったので、「また買えばいいや」と損切りが早いということもあるのでしょう。本来であれば「ちょっとした押し目」となるところが、そうした早めの損切りが出て「大きな下げ」となってしまうことも多いのだと思います。もちろん、空売りの場合も同じことがいえるのですが、現物株の損切りなどを考えるとそうした目先の需給では上昇するよりも下落する方が市場エネルギーが少なくて済む、つまり、上がる時よりも下がるときに大きな動きになるということが多いのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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