売買代金は約3年ぶりの低水準清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年12月20日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国市場は軟調となったのですが、為替が落ち着いていることや北朝鮮総書記死亡のニュースが特に取りざたされることもなかったことから、そのニュースで売られた分、自律反発となりました。クリスマス休暇前の手仕舞いの売り買いはみられるものの、積極的な売り買いはみられず、閑散とした相場が続いており堅調ながらも値動きに乏しく盛り上がりに欠ける展開となりました。昨日下がったものが反発となりましたが、特に物色対象が絞られるわけでもなく、指数は堅調ながらも「冴えない」感じの相場となりました。

 北朝鮮総書記の死亡のニュースは欧米ではほとんど反応がみられませんでした。日本では敏感な反応となりましたが、特に何が変わるわけでもなく、昨日述べたように、「発表できる」ということは「特に問題はない」ということなのだと思います。これで北朝鮮が市場経済の参加者として出現してくるのであれば小さいとはいえ、市場が出現するということであり、アジア企業にとってはメリットも出てくるということだと思います。欧州からの投資や欧州への投資が懸念されるなかではアジア域内での投資先拡大は大いに好感することになるのでしょう。

 逆に韓国や日本と交戦状態になるような事態となれば、米中戦争となるか、リビアやイラクのような政権打倒の介入戦争となるわけで、まずありえないと思いますが、前者の場合は日本も戦場となる可能性も高く、株式相場どころの話ではなくなってくると思います。また、後者の場合でも中国が介入してくるのであれば世界的な紛争となるし、介入しないのであれば案外あっさりと片付く可能性もありそうです。そうなればそうなったで解決後のインフラ需要、復興需要なども期待できると思います。

 ただ、今後も現体制を維持し、周辺国にけん制を続ける可能性が高く、従来と何ら変わらないということになると思います。経済的には北朝鮮問題よりも米国での自己資本規制強化の話題の方が影響が大きいと思います。ただ、自己資本規制を強化したからといって米銀の資金供給が滞らないようにFRB(連邦準備理事会)では考えているものと思われ、欧米銀行に対する潤沢な資金供給さえ止まることがなければ、所謂「欧州金融不安」からの信用収縮の動きも限定されるものと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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