ユーロ安などを嫌気して連休前の手仕舞い売りも嵩んで大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年01月06日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株は底堅い堅調な展開となったのですが、日本市場はユーロ安などを嫌気して売りが先行、先物にまとまった売りが断続的にみられ、指数は大きく下押す展開となりました。特に売り急ぐ材料が出たということでもないのですが、米雇用統計の発表を控えて、好調な好調で出尽くし感が強まり、悪いと失望感から売られるのではないかとの思惑もあり、手仕舞い売りが嵩んだものと思います。先物主導という下げで特に材料がみられないことでかえって疑心暗鬼になって売り急ぐことになったものだと思います。

 米国株への連動がみられず大幅下落となりました。改めて売り急ぐほどの材料が出たということでもないのですが、目先的な過熱感が強まっているなかで何かと材料を探しては売り急ぐ動きになったものと思います。例年、年初は堅調となり、その後急激な調整があって、そしてすぐに戻り歩調となって、結局「節分天井、彼岸底」になるということも多く、3連休を前に手仕舞い売りが出ると追随する動きも多くなったのだと思います。

 株式などの市場心理というものは面白いもので、誰かが白いものが黒いといい始めると何だか皆がその気になって白いものがだんだん黒く見えてきたりもするものです。下落しないと思っていた相場が下落を始めると、どこまででも下がるという気分になり、我先にと売り急ぐということになるのです。そして後で振り返って見ると底値で売ってしまうというようなことも多いのではないかと思います。皆が黒いというものを白いといい続けるにはかなり勇気と度胸が必要で、いつの間にか周りに迎合して、買っていたものがいつの間にか売り方に回ってしまうということです。

 いったん弱気になると今度はどんな材料が出ても相場が下がるようにしか思えず、戻ると売り、という雰囲気になってくるのです。最初はそれでもうまく行くように見えるのですが、所詮、白いものは白く、冷静に落ち着いてみるとちっとも黒くなかったということになるのです。目先の値動きに右往左往されず、しっかりと方向感を見ていれば、白いものはしっかりと白く見えてくるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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