堅調だが円高を嫌気して上値も重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2012年01月10日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 日本市場が連休中の米国市場が堅調となったこともあり、日本市場も買い先行となりました。ユーロがまた安くなったことから売り先行となるかと思ったのですが、米国での景気後退懸念が薄れたことで買戻しも交えて堅調となったものと思います。外国人売買動向も株数は相変わらず売り越しながらも金額は買い越しと伝えられたことなどもあり、売り要因とはならず、売り飽き気分や連休前の大幅下落の反動から堅調となったものと思います。

 寄り付きの売り買いが一巡となると動きが止まってしまうことが多くなりました。日中の値動きが少ないということはやはりそれだけ市場参加者が少なくなっているということなのだと思います。株式にかかわらず、市場で値がつくということはその値段で売買が成立するということであり、その値段で「売る」という人と「買う」という人がいないと成り立たないわけです。ですから、誰もが安いと思って「買う」ということはその値段では買えず、誰もが「売る」という値段では買えないということになります。

 ただ、市場にはいろいろな参加者がおり、「いくらでもいいからその株が欲しい」という人がいれば、売りたい人の言い値で売ることができるということなのです。そのためにはいつもこのコラムでも述べているように目先の値動きばかりを気にしながら売り買いする人や1年間かけてじっくりと株を買う人、あるいはもう十分に株を買っているので後は売り場を探すだけの人などいろいろといるわけです。いろいろな市場参加者がいるときはいろいろな売買がありそれなりに相場が動くということなのですが、現状のように誰もが同じ材料で同じように反応していては一方向に大きく進むか全く動かないかどちらかということになります。

 FXの取引が人気で、オプションの売りなども流行っているということはそれだけリスクを取れる人がいるという一方で、それほどリスクを取れない人達は参加できないということなのだと思います。また、短期の売買が好まれるということで、しっかりと方向感を持って市場に参加している人が少ないということなのだと思います。やはり、もっと市場参加者が増えるような施策をとらないと株式市場もなかなか盛り上がらないということなのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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