JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を杉山淳一の時事日想(5/6 ページ)

» 2012年02月24日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

JR貨物はやる気満々

 JR貨物による震災がれき輸送はすでに始まっている。当初は20ft(フィート)のUM13A形コンテナを使用していた。現在はこれに加えて12ftのUM8A形という新造コンテナも投入されている。

 UM13A形コンテナは主に産廃輸送用として使われている。川崎市の資源ゴミ輸送にも採用された。川崎市は平成7(1995)年から、日本の自治体で初めて鉄道貨物によるゴミ輸送を始めた。川崎市は南北に細長い地域を管轄しており、北部から海岸部の処理場まで市内だけを通る幹線道路は府中街道しかない。そこで、貨物輸送に実績のあるJR南武線を活用した。

 川崎市では鉄道にゴミ輸送を切り替えたことで道路交通量も減り、ゴミ運搬車のCO2削減にも大きな効果があったという。震災がれき輸送で初期に川崎市が名乗りを上げた理由は、資源ゴミ輸送でUM13Aコンテナに対応する施設を持っているからだ。

 東京都が採用したUM8Aは12ftコンテナである。筆者は前回、旧規格の12ftコンテナは一掃せよと書いたが、UM8Aの導入は筆者を納得させる理由があった。東京都には大型コンテナによる廃棄物輸送に対応した設備がない。UM8Aを改良すれば、既存のゴミ輸送車用処理施設に対応できるという。そういうことなら12ftコンテナも大歓迎である。全国の自治体で採用したらいいと思う。

 JR貨物の社長も細野豪志環境相と会談し、がれき輸送に全力を挙げる考えを示したという。鉄道の復権は貨物輸送である。大船渡線、山田線、そこから東北本線に接続する路線はすべて、国の復興予算の元で重量貨物対応の路線として整備すべきだ。

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