“信頼”が生産性を高める(1/2 ページ)

» 2012年02月24日 08時00分 公開
[寺西隆行,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:寺西隆行(てらにし・たかゆき)

株式会社Z会教材編集部理科課長(兼小学生コース教材担当)。幼児から大学生・若手社会人の教育に携わるZ会で、理科の教材編集に携わる社員のマネジメントと、小学生向け商材の開発担当を担う。前任はWeb広告宣伝・広報・マーケティングなどを担当。


 今週末に、国公立大学の前期試験が行われます。試験直前まで頑張って対策し、見事合格をつかんだこれまでの東大合格者のみなさん。彼らから合格直後のコメントを頂戴すると、最も多い単語が「感謝」です。

 この単語、すべての大学合格者に多いのですが、東大合格者は「極めて多い」というレベル。「親に感謝」「友達に感謝」「先輩に感謝」「先生に感謝」「支えてくれたすべての人に感謝」……感謝、感謝のオンパレードです。

 そして、感謝の裏にあるのは、「誰かを信頼する気持ち」ですよね。「最高点に達するためには、信頼する気持ちが絶対に必要」という、ちょっとした裏づけだと思っています。

大阪市役所の生産性を高めるには

 何でこんなことをふっと述べる気になったかと申しますと、大阪市職員のメールを極秘で調査した橋下市長の記事(参照リンク)を目にしたからです。

大阪市役所公式Webサイト

 橋下市長は市職員幹部(管理職のみのメール調査のようですね)を信頼していない(あるいは、これまで無知識なので、信頼できるかどうか、を見るために調べる)という状態。そして、そんな橋下市長に、調べられた方は脊髄反射的に「うっ……」となり、職員の中には「何様のつもりだ!」と反発している人もいるような状態。これが現状でしょうか。

 双方に信頼感がない状態ですよね。そして、組織全体として、サービス享受者(=市民)にはまったく関係のない労働がそこに費やされる。この状態が続くことは、生産性の悪化(=提供するサービス水準の低下)につながること、見た目でも、論理的に考えても、明らかですよね。

 「今、調査に踏み切った」という事象だけみて、双方の態度をとやかく言うつもりはありません。ただ、“この調査をした後”ということであれば、次のような姿勢が求められるのではないでしょうか。

 橋下市長側は調査して「シロ」であった職員を信頼し、さらにしらみつぶしに調べるようなことは決してしない。空いた時間で別の大切な業務に勤しむ。職員側は調査によって「シロ以外の行為を排除してくれたんだ」と思い、自分も信頼される行動を続けるとともに市長のことを信頼し、市長の行為にいちいち突っ込まず、市民のための業務に勤しむ。これで最高のサービス生産性が生まれるはずです。

 蛇足ですが、そもそも勤務先の機器は勤務先所属のものですから、すべては勤務先の方針・意図を代弁しようとして、のものでなければならないはずです。だから、雇用されている人は、機器を「使わせていただいている」という意識が先。メールの中身を調べられることに“声高に反論”するのは筋違いだと思っています。僕も雑談じみたメールのやり取りはゼロとはいいませんが、かといって調査されても平気(というか、仕方ない)という意識です。

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