コラム
» 2012年03月09日 19時20分 公開

杉山淳一の時事日想:鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ (2/5)

[杉山淳一,Business Media 誠]

オタク市場規模を俯瞰してみる

 ちょっと古いデータだが、2005年に野村総合研究所(以下、野村総研)が「マニア消費者市場を新たに推計、04年は主要12分野で延べ172万人、4110億円規模」というプレスリリースを発表した。同社に問い合わせたところ「最新データはない」とのことなので、このデータを元に話を進める。

 野村総研の調査はオタク層を「強くこだわりを持っている分野に趣味や余暇として使える金銭または時間のほとんどすべてを費やし(消費特性)、かつ、特有の心理特性を有する生活者」と定義している。従来の消費特性のみで捉えた数値は「旧定義」とし、心理特性を加味した数値が「新定義」だという。いわゆる「コアな趣味人」の行動を分析したものだ。

 この発表は当時、鉄道ファンの間でかなり話題になった。鉄道趣味の市場規模について具体的な数字が示されていたからだ。鉄道趣味はアニメやゲームとは違い、市場の指針となる具体的な商品がない。かつては趣味市場の推計に専門誌の発行部数が役立っていたが、ネットの時代ではそれも難しい。故に「野村総研の数字には賛否両論あったが、ビジネスの指針に成り得るもの」と考えられる。

 旧定義の消費特性だけを見ると、鉄道趣味人口は14万人。260億円の市場規模である。クルマの趣味と比べると約3分の1の人数で「なんとなくそうかな」と思わせる。消費金額はクルマのほうが圧倒的に大きい。これはクルマという高額商品の分野だから当然だ。旅行という分野はオタクというより一般の趣味のような気がするが、並べられているから比較すると、旅行オタクは多いけど鉄道オタクの15倍以上。7120億円という市場規模は、享受するビジネスの多さを示している。

 ここからさらに絞り込んだコア層を見ると、鉄道は2万人で40億円。コミックは35万人で830億円。ゲームは16万人で210億円。アニメは11万人で200億円となる。鉄道趣味のコア層は少ないが、1人当たりの消費金額はやや高めで、趣味ビジネスの担い手から見れば良いお客さんかもしれない。

「旧定義による2004年のオタク市場規模推計(野村総研)」(旧定義=消費傾向のみ注目したデータ)
「国内主要12分野のマニア消費者層の2004年市場規模推計(野村総研)」(旧定義の推計から心理行動を加味した「コア層」を算出したデータ)

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