“私的援助”にみる市場原理ちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2012年03月19日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

この市場の“強者”は?

 ざっと考えたところ、この市場における“強者”とは……。

(1)子ども

 自己責任を問いにくい、高齢者や中高年に比べてかわいい、素直に喜ぶ(せっかくの援助に対して小難しいコトを言わない)、などさまざまな理由のため、子どもは圧倒的な強者です。

 一部の途上国では、日本人観光客が集まる場所に連れていく赤ちゃんを“物乞い”の人に貸してくれる商売があると言われますが、この市場での子どもの圧倒的な競争力を考えれば、そういった商売が出てくるのも自然なことです。

(2)見た目が良いもの

 ほかの市場と同様、ここでも「見た目」は重要です。この市場で最も好まれる見た目とは、みすぼらしいが、汚くはないもの、素直で純粋に見え、ひねていないもの、寄付者より優れている点は1つも見つけられない、かわいそうなものなどです。

(3)高尚な寄付項目

 中には「教育費なら寄付してもいいが、生活費に消えるなら嫌だ」という人がいます。何か高尚なことに貢献したいと考える人たちが多いのです。

 高尚な寄付項目には国ごとに違いがあり、日本人が好きな市場は“教育”ですが、欧州ではイルカやクジラなどの“ほ乳類”や“環境”、米国では“人権”や“アート”も競争力が高い市場です。

 この法則を利用した寄付募集例としては「途上国では給食が出るから、子どもたちは学校にやってくるのです」というキャッチフレーズで、競争力のある“教育”というキーワードを前面に出しつつ、なかなか寄付の集まりにくい“食費”を集めることに成功した事例も存在します。

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