鼻水や咳を薬で抑えるのは誤り大往生したけりゃ医療とかかわるな(7)(2/3 ページ)

» 2012年03月21日 08時00分 公開
[中村仁一,Business Media 誠]

 なぜなら、更年期になって女性ホルモンが減少するのは、自然の姿です。これらに逆らうわけですから、不自然であることには間違いありません。ただ、人によっては症状が強く、日常生活に障りが出る場合もあります。苦痛を軽減するというのも、医療の役割の一つです。そのため、減っている女性ホルモンを補って楽にし、漸減しながらソフトランディングを図ろうというものです。

 したがって、自然に反したことをしているわけですから、いつまでもダラダラと続けるのがよくないことは、いうまでもないでしょう。ですから、これに反すると、乳がんや子宮がんなどのがんや、静脈内に血の塊(血栓)をつくるような副作用が出ることにもなります。ゆえに、これは補充療法というより、次に述べる対症療法に入れた方がいいと思われます。

(3)対症療法

 読んで字のごとく、症状に対するもので、治療法としては、これが圧倒的に多いわけです。症状を和らげたり、苦痛を緩和したりすることで、間接的に治癒に影響を与えようということです。つまり、症状や苦痛のため安静に保てなかったり、食欲が極端に減退すれば、それだけ自然治癒力に影響が出るわけですから、それを防ぐ意味で、消極的治癒促進になるというわけです。

 したがって、食欲も落ちず、苦痛も辛抱できる範囲で、安静もそれほど妨げられないなら、全く不要です。

 前述したように、症状は、早く治そう、元の状態に戻そうという身体の反応ですから、これを抑えるのは治癒を遅らせることになります。

 ゆえに、対症療法は、この利益、不利益を天秤にかけて、どうするかを考えなくてはいけません。鼻汁や咳、少しムカムカするなどのほんの些細な症状にもかかわらず、これらを抑えようとするのは、明らかに誤りといえるでしょう。

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