はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2010年4月13日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
就職難に直面している大学生が、面接指導などを受けるため「就職予備校」に通うというニュースを見ました。大学の就職相談室より実践的で懇切丁寧と人気らしいのですが、価格はかなり高く、中には10万円以上のところもあるとか。
ちなみにこのビジネスに関連して、最も学びが大きく、成長しているのは、お金を払っている学生側ではありません。
こういったビジネスにニーズがあるとにらみ、就職氷河期到来の機を逃さずに事業を始めて効果的に不安をあおり、適度に優しく適度に厳しく指導する起業家側の人たちこそ、学びに来ている学生の何倍ものことを日々新たに学んでいるし、ビジネスパーソンとして成長しているはずです。
口コミで何でも広がってしまう大学生から10万円も払ってもらうには、相当高い価値を提供しないと商売は成り立ちません。そのためには何をどうすればいいか、日々考えて試行錯誤しているはず。それが“稼ぐ側”を育てるのです。
実は「お金を払うより、お金を稼ぐ方が学べるし成長できる」というのは一般的な法則です。大学だって、学費を払って1年間、勉強するよりも、一定の講師料をもらい一年間授業を任されたら、その方が圧倒的に学びが大きいでしょう。
最初の例に戻れば、学生は10万円払って就職予備校に通うより、近くのコンビニか弁当屋でアルバイトし、「ほかのバイトより10万円多く売り上げる」という目標を立てるべきなのです。
そして、工夫と努力でそれを実現すれば、就職予備校に通うよりよほど多くのものを学べるでしょう。しかも実際の採用面接も、その方が通りやすいはずです。
“稼ぐ”のは“払う”とは比べられないくらい人を育てます。「学びたければ金を稼げ、金を払っている場合じゃない」のです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング