ビジネスパーソンにとって、情報は大きな“武器”のひとつだ。しかし「新聞、雑誌、テレビ、ネットなどで情報を仕入れているのに、いまひとつ世の中の動きがよく分からない」という人もいるだろう。
もちろんメディアが悪いのではなく、ましてやそのビジネスパーソンの感度がにぶいわけでもない。現在の状況を分析し、次にどういったモノがやって来るのか――といった情報に触れていないのかもしれない。
「これからのことがよく分かるコラム」では、“今と次”にスポットを当てた。今、何が起きているのを知り、次に何が来るのかを推測する。そうした情報を自分の肥やしにして、仕事力をアップさせようではないか。
転職市場は、雇用全体の環境と相関関係にある。よって、まずは全体環境をつかむことから始めたい。雇用状況のデータは、見る期間によって大きく読み方が異なるので、まず、長期トレンドを押さえておきたい。特に、「買い手(採用企業)」と「売り手(求職者)」の需給バランスを端的に表すのが求人倍率データ。大卒の求人倍率データを見てみると(参照リンク、PDF)、バブル期のピークであった1991年卒業者の2.86倍(学生1人当たり求人数)に対して、2012年卒業者では約6割減の1.23倍となっている。需給バランスだけでいえば、1996年の金融不況と2000年のITバブル崩壊に次ぐ低さだ。
しかし求人総数をみると、1991年の84万件に対して、2012年56万件(同−33%)と、上記の求人倍率(−57%)と大きくかい離している。このギャップの原因は大学生(就職希望学生)の増加によるものだ。民間企業への就職希望学生数は1991年29万人に対して、1996年38万人、2000年41万人、2012年45万人(1991年比+55%)と増加を続けている。
ちなみに、リーマンショック直前の2009年卒業者の求人倍率は、2.14倍とバブル期以降最大の状況に達していて、求人数も95万件とバブル期を10%以上上回る情勢だった。
とはいえ、より実感値に近い求人倍率をもとに過去20年間を俯瞰(ふかん)すると、(1)バブル崩壊、(2)ITバブル崩壊、(3)リーマンショックという3つの大きな谷からの回復期にある。これが長期レンジで見た現在地だ。
さらに、もう少しレンジを短く、過去3年間の推移を求人情報協会の求人広告掲載件数集計推移でみると(参照リンク)、リーマンショックで半減したトレンドが、20%回復した「7割戻し」の状況にある。
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